脊柱起立筋の効果的な鍛え方 おすすめエクササイズ3選とストレッチ方法
普段目視できないものの、大切な筋肉である背筋。特にその中心を走る脊柱起立筋は、二足歩行のために重要な筋肉で、鍛えることでさまざまなメリットが得られます。姿勢改善やボディメイクはもちろん、スポーツのパフォーマンスアップも期待できるため、ぜひ鍛えたい筋肉の一つです。
今回は、脊柱起立筋の概要と鍛えるメリット、3種類のエクササイズとストレッチを紹介します。
目次
Toggle脊柱起立筋とは
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は背骨の両側にある細長い筋肉です。一般的には背筋と呼ばれる筋肉で、首から骨盤にかけて位置する腸肋筋(ちょうろくきん)、最長筋(さいちょうきん)、棘筋(きょくきん)で構成されています。
腸肋筋、最長筋、棘筋は、それぞれ下記の筋肉に細分化されます。
- ・ 腸肋筋:頸腸肋筋、胸腸肋筋、腰腸肋筋
- ・ 最長筋:頭最長筋、頸最長筋、胸最長筋
- ・ 棘筋:頸棘筋、胸棘筋、頭棘筋
私たちの体はこの脊柱起立筋が背骨を立てて姿勢を維持してくれるため、直立ができるのです。また脊柱起立筋は、重力に抗って姿勢を保つ「抗重力筋」であるため、二足歩行を行う人間にとって重要な役割を果たしています。
また脊柱起立筋は下記のような働きもあります。
- ・ 体幹の伸展:上体を後方に反らす
- ・ 体幹の側屈:上体を横に曲げる
- ・ 骨盤の前傾:骨盤を前方に傾ける
これらの動きは日常生活をはじめ、走ったり投げたり打ったりする動作にも欠かせないため、脊柱起立筋はあらゆるスポーツ競技を行っている方にとっても、重要な筋肉と言えます。
脊柱起立筋を鍛えるメリット
脊柱起立筋を鍛える代表的なメリットは、下記の4つです。
- ・ 姿勢の改善
- ・ 美しい背中の実現
- ・ 腰痛の予防
- ・ スポーツパフォーマンスの向上
脊柱起立筋の強化は、アスリートから一般の人までさまざまなメリットがあります。
姿勢の改善
脊柱起立筋は、背骨の安定性と姿勢をサポートする重要な筋肉です。この筋肉を鍛えることで、正しい姿勢を維持する能力が向上し、猫背を改善することができます。
猫背とは、背骨や肋骨が前に傾くことで背中が丸まり、肩が前に出た状態を指します。脊柱起立筋は体幹を伸展する作用があるため、筋力が弱まってしまうと背中が丸まり、猫背になりやすくなってしまうのです。
猫背が続くと悪い姿勢が習慣化して、肩こりや腰痛、頭痛などの症状が現れる可能性があります。また猫背の人は、周りから自信がないように見られることが多いため、コミュニケーションや仕事での評価にも悪影響を及ぼすでしょう。
脊柱起立筋を鍛えるエクササイズでは、体幹を伸展させたままバーベルを持ち上げたり、体幹を屈曲(体幹を丸める)した状態から伸展したりします。脊柱起立筋の強化と同時に、体幹を伸展する感覚を覚えるため、猫背の防止や改善につながります。
一方で、脊柱起立筋が硬くなることで、背中が反りすぎてしまう「反り腰」になる可能性もあります。そのため、ストレッチも併せて行うことが重要です。
美しい背中の実現
脊柱起立筋を鍛えることで「ヴィーナスライン」を浮き上がらせることができます。ヴィーナスラインとは、背中の中心にできる縦線のことです。脊柱起立筋の厚みと、背骨との高低差によって際立ちます。
脊柱起立筋を鍛えて厚みを作れば高低差が増すため、ヴィーナスラインがより際立ち、美しい背中を実現できるでしょう。
また「ヴィーナスのえくぼ」も作ることができます。ヴィーナスのえくぼとは、腰の上部かつ脊柱起立筋の外側にできるくぼみのことです。天使のえくぼや腰えくぼなどとも呼ばれ、美しい後ろ姿の象徴といわれています。
ヴィーナスのえくぼがあることで、ウエストが引き締まって見える、ヒップの丸みが引き立つなど、セクシーさを引き立たせるといわれています。ヴィーナスのえくぼは、脊柱起立筋の下部、腰回りの筋肉を鍛えることで、浮き上がります。
脊柱起立筋は後ろ姿の要ともいえる筋肉ですので、ここを鍛えることで背中がより美しく見えるでしょう。
腰痛の予防
背骨は頸椎、胸椎、腰椎に分かれ、緩やかなS字カーブを描いており、脊柱起立筋によって支えられています。
脊柱起立筋が弱まると腰の安定性が低くなり、本来緩やかに反っている腰椎が真っすぐになってしまいます。一般的に猫背と呼ばれる状態です。背骨のS字カーブが崩れた状態が続くと、ヘルニアなどの腰痛を発症してしまうリスクが高まります。また、猫背だと脊柱起立筋や腰回りの筋肉が伸びるため、重い物を持とうとした時などにギックリ腰になってしまう場合があります。
また猫背の状態が長く続くと、頭をしっかりと支えることができず肩こりや頭痛を併発する恐れもあります。
脊柱起立筋を強化すれば、背中が丸まらず姿勢を維持できるため、腰の負担が軽減して腰痛の予防につながるでしょう。
スポーツパフォーマンスの向上
脊柱起立筋は体幹を安定させ、スポーツのパフォーマンスを向上させるための重要な筋肉となります。
例えば、ラグビーやサッカーのようにフィジカルコンタクト(身体の接触)があるスポーツでは、脊柱起立筋を鍛えることで体幹の安定性が増し、当たり負けしなくなるでしょう。
また、野球の投球ややり投げなどの投げる動作では、脊柱起立筋は弓のような働きをします。野球の投手は、脊柱起立筋を収縮させることで体幹を伸展させ、投げるぎりぎりまで我慢することで、強く・速く投げることができます。
ハンマー投げのような投てきの動作や野球の打撃などの動きを行う際は、脊柱起立筋を鍛えて体幹を安定させることで、遠心力に拮抗することが可能です。
このように脊柱起立筋を鍛えることで、さまざまなスポーツのパフォーマンス向上が見込めます。
脊柱起立筋を鍛えるエクササイズ3選
ここでは、日常生活やスポーツのパフォーマンスアップに有効な、脊柱起立筋を鍛えるエクササイズを3つ紹介します。
- ・ ヒップリフト
- ・ ダンベルデッドリフト
- ・ ワンハンドダンベルローイング
鍛えられる箇所や意識するポイント、負荷の付け方なども紹介しますので、併せて確認しましょう。
ヒップリフト
ヒップリフトは主に大臀筋(お尻)を鍛えるエクササイズですが、同時に脊柱起立筋も鍛えられます。大殿筋と脊柱起立筋の下部を特に鍛えられるため、先ほど紹介したヴィーナスのえくぼを作るのにおすすめの種目です。特に、女性に人気がある種目です。
1.仰向けになり、両膝を曲げます。
2.息を吐きながら、お尻を持ち上げます。
3.息を吸いながら、元の位置に戻します。
10~15回、3セットを目安に行いましょう。自重で物足りなくなってきたら、腰にプレートなどの重りを乗せて負荷を高めてください。
ダンベルデッドリフト
デッドリフトは脊柱起立筋を鍛えるエクササイズで最も有名な種目です。スクワット、ベンチプレスと並び筋トレ「BIG3」の1つとされています。一般的にはバーベルで行いますが、腰部への負荷が強いため、最初はダンベルから始めましょう。
脊柱起立筋だけでなく、大殿筋、大腿四頭筋(太もも前)、ハムストリングス(太もも裏)を鍛えられます。
1.両手にダンベルを持ち、両足を肩幅に広げます。
2.背中を丸めずに、背中が直線になるようキープして前傾姿勢をつくります。
3.腹圧をかけ(お腹にしっかりと力を入れ)、脊柱起立筋の緊張を感じながら上体を起こします。
4.トップポジションで肩甲骨を寄せます。
5.ゆっくりと元に戻します。
8~12回、3セットを目安に行いましょう。ダンベルでは負荷が足りなくなってきて、バーベルに移行するときは、背中を直線にキープすることをより意識してください。負荷が上がれば上がるほど腰への負担が増すため、ケガのリスクも高まりやすいです。
ケガや故障が心配な人は、トレーニングベルトの着用をおすすめします。
ワンハンドダンベルローイング
ワンハンドダンベルローイングは、広背筋(肩甲骨の下)、僧帽筋下部(肩甲骨の間)、三角筋後部(肩の後ろ)、脊柱起立筋の3カ所が鍛えられます。
主に鍛えられるのは広背筋や僧帽筋下部ですが、どちらも背中の美しさやたくましさを際立たせる筋肉なので、一緒に鍛えましょう。
1.片手にダンベルを持ち、逆側の手と膝からすねをベンチ台に置きます。
2.背中をまっすぐにし、ダンベルを持った手を床に近づけるように下ろします。
3.胸を張り、ダンベルが腰の横を通るようなイメージで、やや後方に弧を描くように引き上げます。
4.上腕が地面と平行になるまで上げたらゆっくりと下ろし、動作を繰り返します。
8~12回、3セットを目安に行いましょう。
脊柱起立筋のストレッチ方法
最後に、脊柱起立筋を伸ばすストレッチ方法を紹介します。脊柱起立筋が硬くなりすぎると反り腰になってしまう可能性があるので、ストレッチでしっかり伸ばしましょう。
脊柱起立筋は、伸びている感覚が分かりにくいのですが、正しいフォームで行えばしっかり伸びます。
1.椅子に腰かけて、背筋を伸ばします。
2.背筋を伸ばした状態で、ゆっくりと腰を後ろにひねります。
3.深呼吸しながら30秒間キープします。
4.息を吐きながらゆっくりと戻します。反対側も同様に行います。
まとめ
人間が人間であることの存在証明ともいえる二足歩行を支えるのが、脊柱起立筋です。鍛えることで、姿勢の改善や美しい背中の実現、腰痛の予防、スポーツパフォーマンスの向上が期待できます。
脊柱起立筋を鍛える最もおすすめのエクササイズはデッドリフトですが、腰への負担が大きいため、一歩間違えると怪我をしてしまいかねません。筋トレ初心者の人やケガのリスクが心配な人は、スポーツジムでトレーナーに正しいフォームや重量設定を指導してもらいましょう。
ぜひ、 スポーツクラブNAS のお近くの店舗までお問い合わせください。
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