タンパク質不足が招く影響とは? 健康的で筋肉質な体にタンパク質は必須
私たちは毎日の食事から栄養素を取っていますが、その中でもタンパク質が重要であることはよく知られています。では、タンパク質が不足するとどのような影響があるでしょうか。
この記事ではタンパク質不足による症状や、タンパク質不足を避けるための方法を解説します。ダイエットや筋トレをしているだけでなく、すべての人に共通する重要な栄養素ですので、ぜひ知っておきましょう。
目次
Toggleタンパク質とは
タンパク質は生物を構成している基本的な物質の一つで、「生命の源」ともいわれる貴重な栄養素です。英語では「プロテイン(protein)」と表記し、語源はギリシャ語の「proteios」に由来します。これは「第一の性質、もっとも大切なもの」という意味があるのです。
タンパク質は炭水化物・脂質と合わせて三大栄養素と呼ばれています。人体においては約60%を水分が占めていますが、タンパク質は15〜20%を占め、水分を除いた重量の約2分の1がタンパク質ということになります。
タンパク質はアミノ酸が結合した化合物で、人間の筋肉や臓器、髪、爪、ホルモン、免疫物質などをつくる材料となっており、生命活動には欠かせません。アミノ酸は自然界に多く存在しますが、わたしたちの体を構成するアミノ酸は20種類のみです。この20種類の組み合わせで10万種類ものタンパク質に形を変えて、さまざまな働きをしています。
タンパク質は食べてもそのまま吸収できないため、体内でペプチドやアミノ酸に1度分解されてから、新たにタンパク質を生成しています。
タンパク質不足で現れる症状
重要な栄養素であるタンパク質ですが、不足するとどのような症状が現れるのでしょうか。
筋肉量が減少する
タンパク質は筋肉や臓器を作っており、筋肉内に多く蓄積されています。食事から取ったタンパク質は体内で1度分解されてから新たにタンパク質として作り変えられており、古いものは排出されていきます。
タンパク質が食べ物から摂取されなくなると、体内で新しくタンパク質を作り変えることができず、筋肉内にあるタンパク質を素材として使わなければならなくなります。その際に筋肉が分解されてしまうため、必然的に筋肉量が減少して筋力の低下や歩行速度の低下、身体活動量の低下などを招きます。
高齢になってタンパク質不足になると、フレイル(加齢にともなう筋機能低下)やサルコペニア(加齢にともなう筋肉量の低下)へとつながるので注意が必要です。
肌や髪などの不調が現れる
タンパク質は筋肉だけではなく、肌や髪、爪など体のあらゆる部分を作るのに使われています。皮膚組織の大部分を占める真皮の材料はコラーゲンですが、タンパク質によって弾力が生まれています。しかしタンパク質が不足すると肌の弾力がなくなり、シワやたるみにつながるのです。また、皮膚の一部である爪も割れやすくなります。
髪の毛の主成分はケラチンというタンパク質ですが、不足すると枝毛や切れ毛、抜け毛の原因となります。薄毛の原因になる可能性もあるので気をつけましょう。
いつもより疲労を感じる
タンパク質は体の中でさまざまな物質を輸送し、貯蔵する役割を持っています。不足することで体内の代謝が上手くいかなくなり、疲れやすくなります。
また神経伝達物質であるドーパミンも、タンパク質を原料としています。これらも不足するので脳の働きが鈍くなり、集中力や思考力も低下します。疲れやすく集中できずやる気が出ないといった症状も起こりやすくなるでしょう。
また、セロトニンなど気持ちをリフレッシュさせるホルモンの産出も停滞し、気分転換もしにくくなります。
免疫力が低下する
体のさまざまな部分を構成しているタンパク質が不足すると、全体的に不調をきたしてきます。生体防御に関わる免疫物質もタンパク質の一種でできているので、タンパク質不足により粘膜や皮膚の働きが弱まってしまいます。
細菌やウイルス、花粉などの異物が侵入しやすくなり、感染症やアレルギーなどを起こしやすくなるでしょう。
タンパク質不足の原因
そもそもタンパク質が不足してしまう原因には、どのようなものがあるでしょうか。ご自身に当てはまるものがないか見ていきましょう。
誤ったダイエット方法
世の中にダイエット方法は数多くありますが、独自の判断で極端に食事を減らしたり、断食に近いダイエットをしたりすると、摂取カロリー全体が少なすぎる低栄養状態となります。食事自体が少ないので、タンパク質も必要な量が不足してしまい、タンパク質不足に陥ります。
タンパク質が不足すると筋肉量が低下して基礎代謝量が低下し、やせにくい体質にもなりかねません。ダイエットは単に体重を落とすだけでなく、無駄な体脂肪を落とすことが大切です。また、リバウンドせず健康的で太りにくい体質になるには、筋肉をつけることが必要です。筋肉量を増やして基礎代謝量を向上させるためにも、タンパク質をしっかり摂取しましょう。
偏った食生活
タンパク質は肉や魚、卵などに多く含まれているため、普通に食事をしていれば不足することはないように思えます。しかしながら外食や弁当が多く、あまり食事の内容に気を使わないでいると、知らないうちにタンパク質不足になることがあります。
特に外食ではラーメンやうどん、丼物など、タンパク質より糖質や脂質が多いメニューを選びがちです。これが日常的になるとタンパク質が不足することになります。
放置すれば肥満につながり、生活習慣病をも招きかねないので食生活の見直しが必要になります。
食欲の不振
高齢者に多いのが食欲不振によるタンパク質不足です。加齢によって食が細くなると、あっさりした低カロリーの食事を好むようになります。しっかり食べているつもりでもタンパク質が不足しがちになり、気づかないうちに低栄養素状態になってしまいます。
低栄養状態が続くと体力や免疫力が低下し、転倒や骨折、感染症などのリスクが高くなります。足の骨を骨折すると、車イス生活や寝たきり生活のきっかけになりやすく、QOL(生活の質)を低下させてしまいます。必要な食事量を食べているか、特にタンパク質を取っているかを把握することは、とても重要なことになります。
1日に摂取すべきタンパク質の量
タンパク質不足にならないためには、どのくらいのタンパク質が必要かを知っておきましょう。性別や年齢で異なるため、公益財団法人長寿科学振興財団のタンパク質推奨量を紹介します。
男性
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
---|---|---|
1〜2歳 | 15g | 20g |
3〜5歳 | 20g | 25g |
6〜7歳 | 25g | 30g |
8〜9歳 | 30g | 40g |
10〜11歳 | 40g | 45g |
12〜14歳 | 50g | 60g |
15〜17歳 | 50g | 65g |
18〜29歳 | 50g | 65g |
30〜49歳 | 50g | 65g |
50〜64歳 | 50g | 65g |
65〜74歳 | 50g | |
75歳以上 | 50g | 60g |
※出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」
女性
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
---|---|---|
1〜2歳 | 15g | 20g |
3〜5歳 | 20g | 25g |
6〜7歳 | 25g | 30g |
8〜9歳 | 30g | 40g |
10〜11歳 | 40g | 50g |
12〜14歳 | 45g | 55g |
15〜17歳 | 45g | 55g |
18〜29歳 | 40g | 50g |
30〜49歳 | 40g | 50g |
50〜64歳 | 40g | 50g |
65〜74歳 | 40g | 50g |
75歳以上 | 40g | 50g |
妊婦(付加量)初期 | +0g | +0g |
妊婦(付加量)中期 | +5g | +5g |
妊婦(付加量)後期 | +20g | +25g |
授乳婦(付加量) | +15g | +20g |
※出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」
タンパク質不足を避けるためには
タンパク質不足は、さまざまな不調の原因となることが分かりました。ここからは、タンパク質不足を避けて上手に摂取するためにはどのようにすれば良いか解説します。
3食の食事をしっかりとる
タンパク質を取るのは食事からです。基本中の基本として、まずは日々の食事内容を見直し1日3食の食事をしっかりと取ることから始めましょう。
これまでダイエットに取り組んでいた人も、どのような食事をとっているか振り返り、きちんと食べて栄養を取りながら行うダイエットに切り替えることをおすすめします。ただ体重を落とすだけではなく、健康的なダイエットを目指して運動を取り入れると良いでしょう。特に筋肉トレーニングで筋肉量を増やすと、基礎代謝量も増えて太りにくくなります。
おかずを一品追加する
成人男性は1日50〜65g、成人女性は1日40〜50gのタンパク質が必要なので、1回の食事から必要なタンパク質量を取ることは意識していないとなかなか難しいといえます。
一つのアイデアとして、毎回の食事にタンパク質の多いおかずを一品追加しましょう。朝食なら納豆を追加するだけでも十分です。朝はトーストという人は、目玉焼きやゆで卵を追加してみましょう。
夕食であれば、冷奴や作り置きした鶏むね肉のハム、缶詰のサバの水煮などを追加するのもよいでしょう。
タンパク質を意識してメニューを考えてみると、手軽に一品追加できます。
サプリメントの活用
多忙でどうしても規則正しく食事が取れない、食が細くて量を食べることができないなど食事から取ることが難しければ、プロテインパウダーなどのサプリメントを上手に活用しましょう。水やミルクに溶かすだけなので、手軽で時間もかかりません。
筋トレ中の人など効率良くタンパク質を摂取したい場合にも、プロテインやアミノ酸のサプリメントはおすすめです。
ポイントは食間に飲むことです。運動の直後に飲むと、筋肉量アップにも効果的です。
まとめ
タンパク質は栄養素の中でも特に意識して取りたい栄養素です。タンパク質が不足するとさまざまな不調を招いてしまうので、タンパク質がしっかり取れるよう日々の食事を見直してみましょう。
スポーツクラブNASでは、専門のトレーナーがトレーニングとともに栄養指導も行っています。健康的なダイエットにも運動と食事は欠かせませんので、興味がある方はお近くの スポーツクラブNAS にお問合せください。
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