ラットプルダウンの正しいやり方とは? 背中に効くコツを解説
背中のトレーニングとしてポピュラーなラットプルダウン。逆三角形の背中を作ったり、スポーツのパフォーマンスを向上させたり、姿勢や肩こりを改善したりなどの効果が見込めます。
しかしフォームが難しいため、なかなか背中に効かないと思っている人が多い種目でもあります。今回は、ラットプルダウンで鍛えられる筋肉と効果、背中に効くやり方を解説します。
目次
Toggleラットプルダウンとは
ラットプルダウン(Lat pulldown)は主に広背筋(こうはいきん)を鍛える筋力トレーニングです。または、その筋トレを行うマシンを指します。latは「広背筋」、pulldownは「引き下げる」という意味です。
また、肩甲骨の間にある菱形筋(りょうけいきん)・僧帽筋下部(そうぼうきん)、肩の後ろにある三角筋後部・大円筋・小円筋、二の腕にある上腕二頭筋も鍛えられます。
ラットプルダウンのマシンは多くのジムに置かれており、一般的に普及しているトレーニングマシンです。ラットプルダウンのマシンには、パットで足を固定する座席があり、頭上にバーが取りつけられています。
このバーを握り上半身を安定させたまま、バーを体に引きつける動作で広背筋を鍛えます。なお、バーの付け替えが可能なタイプのマシンもあり、さまざまな形のバーやハンドルを使うことで、別の刺激を筋肉に入れることができます。
ラットプルダウンで鍛えられる筋肉
ラットプルダウンで主に鍛えられる、下記4つの筋肉を紹介します。
- ・ 広背筋
- ・ 僧帽筋
- ・ 大円筋
- ・ 上腕二頭筋
広背筋
腰や背骨から、腕へとつながっている大きな三角形状の筋肉が広背筋です。上部と下部に分けられ、腕を内側にひねったり、腕を後ろに引き寄せたりするときに動かします。
ラットプルダウンは広背筋を鍛える最も主流のエクササイズのため、初心者から上級者まで、さまざま方が実践しています。
また、広背筋はいわゆる「逆三角形」を作る筋肉です。鍛えることで、背中の横幅が広がり、厚みが出ます。たくましい背中を作りたい方は、ぜひ鍛えましょう。
また、野球の投球や打撃、水泳、格闘技など、広背筋はさまざまなスポーツで重要な働きをします。そのためスポーツのパフォーマンスを高めたいと考えている人にも、ぜひ鍛えてもらいたい筋肉です。
僧帽筋
首から肩、背中にかけて広がる大きな筋肉が僧帽筋(そうぼうきん)です。上部・中部・下部に分けられます。僧帽筋には、腕と肩甲骨を動かす、安定させるなどの役割があり、首をすくめる動きも僧帽筋で行います。
ラットプルダウンで鍛えられるのは、僧帽筋下部です。僧帽筋下部は、肩甲骨を下げる、肩甲骨を内側に寄せる働きがあります。また、僧帽筋の内側にある菱形筋も鍛えられます。
僧帽筋下部を鍛えることで、肩甲骨の間の厚みが増し、よりたくましい背中を作ることができるでしょう。
大円筋
大円筋(だいえんきん)とは、脇の下に位置し、肩甲骨から上腕骨へとつながる筋肉です。腕を引く動作で働き、広背筋を補助する役割を持ちます。
広背筋と比べて小さい筋肉ですが、鍛えることで肩甲骨の横のボリュームが増して、逆三角形を作ることができます。そのため、ボディメイクではとても重要な筋肉です。
上腕二頭筋
ラットプルダウンは背中の筋肉のエクササイズですが、どうしても上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)が関与します。それはバーを引くときに、同時に肘を曲げる動作が入るため、上腕二頭筋が収縮するためです。
しかし、上腕二頭筋への刺激が大きい場合、背中に刺激が入っていないことがあります。そのため、しっかり広背筋を鍛えたい場合は、上腕二頭筋をできるだけ関与させずにラットプルダウンを行わなければなりません。
上腕二頭筋の関与を減らしてラットプルダウンを行う方法は、後ほど解説します。
ラットプルダウンで背中を鍛えるメリット
ラットプルダウンで背中を鍛えるメリット4つを紹介します。
- ・ 逆三角形のシルエットを作れる
- ・ スポーツパフォーマンスの向上
- ・ 姿勢が良くなる
- ・ 肩こりの改善
逆三角形のシルエットを作れる
広背筋と大円筋を鍛えて横に広げることで、逆三角形のシルエットを作ることができます。また、厚みが増すことで、たくましい背中を作ることもできます。服の上からでもわかる逆三角形や、厚みのある背中はかっこよく見えます。
女性も、僧帽筋の厚みを作ることでヴィーナスライン(背中の中心にできる縦線)を浮き上がらせたり、背中を引き締めたりすることで美しい背中を実現できます。
このようにラットプルダウンで背中を鍛えることは、男女ともにボディメイクに効果的です。
スポーツパフォーマンスの向上
背中の筋肉、特に広背筋は多くのスポーツで、パワーを発揮するのに重要な役割を果たします。例えば、下記のようなパワーが求められる動作に、広背筋は重要です。
- ・ 野球投手:腕を振り下ろす
- ・ サッカー:フィジカルコンタクトで相手を抑える
- ・ 水泳:ストローク(水をかく)
- ・ ロッククライミング:身体を持ち上げる
また、広背筋は良好な姿勢と体幹の安定性をサポートします。体幹が正しい姿勢に安定することで、下半身と上半身の連動性が高まり、よりパワーを発揮できるようになります。
さらに体幹が安定するようになると、他のエクササイズで扱える重量も高まるため、筋力の向上にもつながるのです。
姿勢が良くなる
僧帽筋や菱形筋が弱くなると、猫背になりやすくなります。猫背とは、背骨や肩が丸まった状態です。背骨は自然なS字カーブを描いていますが、猫背になるとS字カーブが崩れて、腰や背中に負担がかかります。
その結果腰痛や肩こり、頭痛などの症状が現れることもあるため、注意が必要です。また、猫背だと自信がなさそうに見えるため、コミュニケーションや仕事での評価に悪影響を及ぼす可能性もあります。
ラットプルダウンで僧帽筋や菱形筋を鍛えると、背中をまっすぐにして胸を張れるようになるため、姿勢が良くなるのです。
特に猫背による腰痛や肩こり、頭痛に悩まされている人は、積極的にラットプルダウンを行いましょう。
肩こりの改善
肩こりの原因の一つが、僧帽筋の硬さによる血流の悪化です。僧帽筋を鍛えることによって血流が良くなり、肩こりが改善されることもあります。
また、猫背が肩こりの原因になっている場合もあります。猫背では背中が丸まって、肩周りの筋肉が伸びた状態が続くため、筋肉が緊張してしまい肩こりが発症してしまうのです。
ラットプルダウンで僧帽筋を鍛えつつ姿勢を改善することで、肩こりが改善される可能性があります。
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ラットプルダウンの正しいやり方
ここからは、ラットプルダウンの正しいやり方を解説します。ラットプルダウンは難しいエクササイズで、なかなか狙った筋肉に刺激が入りません。特に広背筋は、効いているのかどうかがわかりにくい筋肉です。
ここでは、一番オーソドックスなフロントラットプルダウンと、ビハインドネックラットプルダウンの正しいやり方を解説します。
フロントラットプルダウン
フロントラットプルダウンは、一番オーソドックスなラットプルダウンで、もっとも広背筋に効かせやすいフォームです。
なお「フロント」は「前側」という意味で、自分の顔の前でバーを上下させます。胸を張って行うため、肩甲骨を下制(肩甲骨を下げる)させやすく、より広背筋を強く収縮させることができます。
1.マシンに座って、太ももと膝をしっかり固定。足の裏は床にしっかりとつけます。
2.バーを肩幅の1.5倍程度広めに握ります。このとき、小指側に力を入れるようにします。サムレス(親指をかけない握り方)でも構いません。
3.胸を張り、肩甲骨を下制させます。
4.広背筋を意識しながら、バーを鎖骨あたりまで引き下げます。肘を骨盤に持っていくようなイメージです。
5.バーを下ろしきったら、ゆっくりと元の位置に戻します。
6.姿勢を崩さず、反動を使わずに動作を繰り返します。
7.10回を3セット行います。
ビハインドネックラットプルダウン
ビハインドネックラットプルダウンは、首の後ろでバーを上下させるラットプルダウンです。フロントラットプルダウンよりも、僧帽筋や菱形筋に強い刺激が入ります。
1.マシンに座って、太ももと膝をしっかり固定します。
2.フロントラットプルダウンよりも少し広めに握ります。
3.胸を張り、肩甲骨を下制させます。
4.視線をやや下に向けながら、バーを後頭部まで引き下げます。このとき肩甲骨を寄せます。
5.バーを下ろしきったら、ゆっくりと元の位置に戻します。
6.姿勢を崩さず、反動を使わずに動作を繰り返します。
7.10回を3セット行います。
ビハインドネックラットプルダウンは、肩の柔軟性がないとケガをしやすいエクササイズです。ストレートネック、頸椎ヘルニア、肩板損傷、脱臼などの既往歴がある人は無理をしないで、フロントラットプルダウンを行いましょう。
ラットプルダウンが背中に効かない場合
広背筋は目視できないので、効いているかどうか分かりにくい筋肉です。ラットプルダウンが思うように背中に効かない場合に注意すべきポイントを解説します。
肩甲骨の下制を意識する
ラットプルダウンで広背筋に効かせるには、広背筋をしっかり収縮させる必要があります。そのためには、肩甲骨の下制が重要です。肩甲骨が下制していないと、広背筋が最大限に収縮できないため、効果を感じにくくなります。
肩甲骨を下制させて広背筋に効かせるために、以下の点を意識しましょう。
小指側に力を入れる
まず、小指側に力を入れましょう。小指側に力を入れることで、円を描くような動きになり、肩甲骨が下制しやすくなります。また、円を描くような動作になれば、肘の屈曲を抑えられるため、上腕二頭筋の関与を減らすことができます。
なお、サムレス(親指をかけない握り方)にすると、より小指側に力を入れやすくなります。
肘を内側に絞る
肩を少し外旋させて肘を内側に絞ると、より胸が張れるため肩甲骨が下制しやすくなります。またこのポジションを意識すれば上腕二頭筋の関与も減らせるため、さらに広背筋を刺激できます。
胸椎を伸展させる
みぞおちを突き出すイメージで、胸椎を伸展させるのも重要です。胸椎を伸展させると、自然に肩甲骨は下制しやすくなります。
パワーグリップやリストストラップを使用する
重い重量を扱うようになったら、パワーグリップやリストストラップを使用しましょう。重量が重くなると強く握ってしまい、上腕二頭筋や前腕の関与が大きくなります。
パワーグリップやリストストラップを使用すると、腕の力を適度に抜くことができるでしょう。
トレーナーの指導を受ける
広背筋は効いているかどうか分かりにくい上に、背中の筋肉は自分で目視できないので、正しくラットプルダウンをできているのか、判断が難しいです。
そこで、初心者はトレーナーの指導を受けましょう。トレーナーに正しいフォームを指導してもらうことが、上達への近道です。
ラットプルダウンと懸垂の違い
最後に、ラットプルダウンと懸垂(チンニング)の違いを解説します。
ラットプルダウンは重量の調節が可能
ラットプルダウンは重量の調節が可能で、小さい負荷から始められます。そのため、初心者でも自分に合った負荷から始められます。一方、初心者が懸垂で自分の体重を正しいフォームで上げるのは困難です。
懸垂も補助を使うことで負荷を小さくできますが、ラットプルダウンの方が手軽に調節できます。
懸垂はフォームが難しい
ラットプルダウンもエクササイズの中ではフォームが難しい部類ですが、懸垂は初心者にはさらに難しいエクササイズです。
自重は負荷が大きいため、初心者の多くは正しいフォームでは上げられないでしょう。そのため、背中よりも腕の筋肉を強く使ったフォームになりやすく、背中にあまり効かせられません。
懸垂は中上級者向け
懸垂では下半身が固定されないため、体幹の安定性も重要です。そのため、背中を動かしながら体幹の筋肉でバランスをとる必要があり、その分難しくなります。
一方で、正しくできるならラットプルダウンよりも幅広く鍛えられるため、レジスタンストレーニングの中上級者、スポーツ選手には懸垂がおすすめです。
まとめ
ラットプルダウンは広背筋、僧帽筋、大円筋などを鍛えられるエクササイズです。逆三角形の背中を作ったり、スポーツのパフォーマンスを向上させたり、姿勢や肩こりを改善したりなどの効果を見込めます。
しかし初心者には難しい部分があるので、ジムに通ってトレーナーの指導を受けましょう。関心のある方は、お近くの スポーツクラブNAS店舗 までお問い合わせください。
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