話題のメソッド「HIIT」とは? その効果と具体的な方法を解説
近年、「HIIT(ヒート・ヒット)」というトレーニング方法が注目を集めているため、HIITに関心を持っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、HIITにどのような特徴やメリットがあるのか解説し、HIITを行う上で注意してほしいポイントやおすすめのHIIT種目を紹介します。初心者から筋トレ経験者まで、記事を参考にぜひトライしてみてください。
目次
ToggleHIITとは
HIITとはどのようなトレーニング方法なのか、概要や特徴を解説します。通常の筋トレとの違いに注目してみてください。
HIITの概要
HIIT(ヒート・ヒット)とは、「High Intensity Interval Training」の頭文字をとって略される話題のメソッドのこと。日本語に訳すと「高強度インターバルトレーニング」という意味で、高い負荷のかかる短時間の運動と休憩を交互に繰り返すトレーニング方法です。
HIITで行う高強度の運動は、基本的に無酸素運動です。高強度の運動はきつく辛いと思われますが、数十秒という短時間の運動が多いため初心者でも取り組むことができます。数十秒の休憩を入れてまた高強度の運動を繰り返すHIITは、多くのメリットがありダイエットや体力増強などを目標にはじめる人も増えています。
HIITの特長
通常の有酸素運動やある程度の時間をかけて行う連続的なトレーニングとは異なり、HIITでは数十秒という短い時間で負荷の高い無酸素運動を行います。間に小休憩を挟みながら断続的に行うこともHIITの特徴的な点で、高強度運動と休憩を繰り返すことで効率的かつ効果的なトレーニングができます。
HIITの代表的なトレーニング方法に、20秒の高強度の運動(スプリントやバーピーなど)に続けて10秒の休憩をとることを1セットとし、これを8回繰り返すものがあります。これが、立命館大学スポーツ健康科学部学部長の田畑泉教授によって考案された「タバタプロトコル」です。高強度の運動+休憩を断続的に繰り返すことによって、約4分で効果的なトレーニング効果を得ることができます。
HIITのメリット
HIITには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ほかのトレーニングとの違いも含めて説明します。
効率的な脂肪燃焼
HIITでは数十秒という短時間のなかでハードな運動を行い、短い休憩と交互に繰り返します。そのため筋肉中にある糖の消費率が高くなり、脂肪が燃焼しやすくなることが期待されます。
私たちが生きている上で消費する総エネルギー量は、基礎代謝量が約60%、食事誘発性熱産生が約10%、身体活動量が約30%で構成されています。基礎代謝量が高いほど痩せやすいと言えますが、体格など個人差があり筋肉の量が大きく関係しています。
HIITを行うことで、身体活動量が向上して効率的にエネルギー消費をすることが可能です。またHIITにより筋肉量がアップすれば基礎代謝量も増え、痩せやすい体づくりができるようになります。
筋肉量の維持
ダイエットや健康のために、ウォーキングなどの有酸素運動を行うことは効果的です。ただし、有酸素運動はやりすぎると筋肉が落ちるリスクもあります。
有酸素運動の場合、消費するエネルギー源は最初に糖質、続いて脂質、その次にタンパク質となります。体内の栄養が不十分なまま有酸素運動を長時間してしまうと、タンパク質である筋肉が分解されやすくなるということです。
HIITでは無酸素運動を断続的に繰り返すため、運動が短時間となり筋肉量をキープしながら活動代謝量を上げることができます。当然ながら、活動代謝量が上がれば脂肪燃焼しやすくなります。
アフターバーン効果
アフターバーン効果とは、運動後にもカロリー消費が続く現象のことです。ハードな運動をすると体は酸素不足になります。それを補おうとして運動後にもより多くの酸素を消費し、ダメージの修復にもエネルギーを必要とするため、この間は代謝量が高い状態が続き脂肪燃焼がしやすい状態になります。HIITでは短時間の高負荷運動と休憩を繰り返すので、アフターバーン効果が得やすいのです。
アフターバーン効果で代謝量が高い状態が続くと、普通に生活していても通常よりカロリー消費量が増えます。そのためHIITを習慣的に行えば常に代謝量が高い状態をキープしやすくなります。最終的に総消費エネルギー量が多くなるため、ダイエット効果も期待できます。
心肺機能のトレーニング
HIITでは負荷の高い運動をするため、有酸素運動よりも多くの酸素が必要です。高強度の運動をすると息が上がる状態となり、肺は酸素を体へ取り入れようと効率的に活動します。肺から取り入れた酸素を全身へ送るため、心臓も心拍数を上げて活発化されます。
HIITを習慣的に行うことで心肺機能の向上が期待でき、体力や持久力も付いていきます。
時間の節約
運動を習慣化できない理由の一つに、時間を確保できないということが挙げられます。脂肪燃焼効果を得るために、有酸素運動は20〜30分は行うことが推奨されています。有酸素運動をするためのウォームアップやクールダウンの時間を含めると、約1時間程度は見ておく必要があるでしょう。
一方HIITでは、一つのトレーニングが4〜5分と短時間です。道具や設備も必要なく、自宅で思い立ったときにできるので、忙しくて時間がなくても習慣化しやすくなります。
さらにHIITでのトレーニング後はアフターバーン効果が得られるため、時間を節約しつつ効果がキープできます。
HIITの注意すべきポイント
HIITは高負荷の運動を行うため、注意が必要なポイントがあります。メリットの多いHIITだからこそ、リスクを減らして習慣化していきましょう。
ウォームアップとクールダウンを行う
HIITは短時間でしっかりトレーニングできるのが魅力ですが、強度の高い運動を行うので前後のウォームアップとクールダウンは大切です。急激に高負荷の運動を行うと、ケガのリスクが高まり心臓や肺にも大きな負担をかけてしまうことになります。特に運動の習慣がない人や初心者は、トレーニングを始める前には必ずウォーミングアップを行いましょう。もちろん運動習慣のある人でも、ウォームアップとクールダウンは必ず行ってください。
ウォーミングアップには、ストレッチや体温を上げるための軽い運動がおすすめです。また、HIITの後にもクールダウンとしてストレッチを行ってください。時間があれば軽めの有酸素運動も取り入れると、アフターバーン効果でより高い脂肪燃焼効果が期待できます。
フォームやテクニックに注意
HIITに限りませんが、効果を得るためには正しいフォームやテクニックで行うことが重要です。自己流になると期待する効果が得られなくなるばかりか、故障やケガの原因になりかねません。
特に初心者の場合は徐々にフォームが自己流になったりしますので、慣れてきても正しいフォームを意識して行うようにしましょう。
正しいフォームやテクニックは動画の方が分かりやすいので、HIITしている姿を動画で撮影して見返してみてください。フォームに不安がある人は専門家の指導を受けてみるのもおすすめです。
おすすめしたいHIIT種目2選
ここでは初心者でも取り組みやすい、おすすめのHIIT種目を紹介します。今すぐにでも始められるので、注意すべきポイントをよく守ってチャレンジしてみてください。
バーピージャンプ
HIITの代表的なエクササイズで、体の中でも大きな筋肉である大胸筋、大腿四頭筋、大臀筋などを鍛えることができます。またバーピージャンプには負荷を変えたバリエーションがいくつかあるので、まずは基本のやり方を覚えましょう。
1. 足を閉じて立つ。
2. その場にしゃがみ、床に両手をつける。
3. 両手はつけたまま軽く飛び上がり、両足を後ろに伸ばして腕立て伏せの状態になる。
4. 勢いをつけて両足を元の位置に戻す。
5. 膝を伸ばしてその場で高くジャンプする。このとき両手もまっすぐ上に伸ばす。
6.1〜5の動作を20秒間続けます(運動A)。10秒のインターバル(休憩B)を置きます。「運動A」と「休憩B」を交互に繰り返し、8セット行います。
8セットで合計4分のトレーニングとなります。強度を上げるには3〜4の間に腕立て伏せを行うバリエーションもあります。かなりハードに感じますが、呼吸を止めないように注意してください。
マウンテンクライマー
マウンテンクライマーもHIITの定番として知られるトレーニングです。鍛えられる部位は、腹直筋、腸腰筋、大腿四頭筋、腓腹筋などです。体全体を引き締めることが期待できます。
1.腕立て伏せの姿勢になります。手は肩幅よりやや広めにつきましょう。
2.膝を曲げ、足を交互に胸の方に引き寄せます。右足を引き寄せる際には膝が左胸に近くに、左足を引き寄せる際には膝が右胸の近くに来るように意識しましょう。腕立て伏せの姿勢で行う「もも上げ」のイメージです。
3.交互に足を引き寄せる動作を素早く行います。リズミカルに足を動かすので、体がぶれないよう手でしっかり支えて行いましょう。
4.1〜3の動作を20秒間続けます。10秒間のインターバルを置き、また1〜3の動作を交互に8セット行います。8セットで4分間のHIITトレーニングです。
まとめ
HIITは時間がなくてもできる効率の良いトレーニング方法です。高強度の運動と休憩を繰り返すことで、効率的に脂肪を燃焼し筋肉量を維持・増加させることができます。アフターバーン効果や心肺機能の向上というメリットもあるので、十分に運動する時間が取れない人でも、トレーニングを習慣化してダイエットや理想の体づくりが可能です。
ただし正しいフォーム、テクニックで行うことが重要なので、最初はジムでトレーナーの指導を受けると良いでしょう。関心のある方は、お近くの スポーツクラブNAS へお問合せください。
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