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糖質を取りすぎた次の日はどうすればよい?調整のコツを解説

糖質を取りすぎた次の日はどうすればよい?調整のコツを解説

健康

糖質は、お米・麺・パン・イモなどの主食、甘い菓子類、果実などに多く含まれる、脳や身体のエネルギー源として重要な栄養素です。ただし、取りすぎると肥満や高血糖につながり、さまざまな生活習慣病の原因となるため、バランスのとれた食事を心がけるのが重要です。とはいえ、日常生活の中でつい主食や甘いものは多く取りがちです。したがって、糖質を取りすぎた翌日に調整する方法を知っておきましょう。

この記事では、糖質を取りすぎると起きる体への悪影響や、次の日に糖質を調整するコツ、取りすぎに対処するための食べ方を解説します。

糖質を取りすぎると起きること

糖質とは、炭水化物の中でも人体が消化吸収してエネルギーを作り出せる栄養素のことです。対して、人体が消化吸収できない炭水化物は食物繊維と呼ばれます。

糖質の摂取が必要となる理由は、糖質を分解して作られるブドウ糖が脳や身体のエネルギー源であるためです。厚生労働省は糖質の目標量を、1日あたりにおける総エネルギーの50~65%に定めています。身体活動量が一般的な方における1日の推定エネルギー必要量は、成人男性:2,300~2,700kcal/日、成人女性:1,750~2,050kcal/日となり、うち1日あたり総エネルギーの50~65%を糖質摂取の目標量としています。

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

糖質不足はエネルギー不足による冷えや疲れ、また低血糖状態によるホルモンバランスの乱れからイライラやめまいといった症状の原因となります。したがって、適量の糖質摂取は健康のために必須です。

しかし、糖質の取りすぎはもちろん身体に良くありません。糖質の取りすぎは、以下で紹介するような身体への悪影響を引き起こします。

肥満

糖質を取りすぎるとブドウ糖が脂肪へと変わり、肥満につながります。

糖質の取りすぎで血液中のブドウ糖が多くなった場合、インスリンが分泌されて肝臓や筋肉の細胞に作用し、ブドウ糖をグリコーゲンへと変えて肝臓や筋肉に蓄えます。しかし、肝臓が貯蔵できるグリコーゲンの量は、最大でも約48時間分と言われており、48時間を超えても残っているグリコーゲンは脂肪へと変わって貯蔵されます。

出典:J-STAGE「4.脳による肝臓糖代謝調節機構」

したがって、糖質の取りすぎを肥満へとつなげないためには、筋肉や肝臓にグリコーゲンの形で蓄えられたブドウ糖を、脂肪に変わる前にエネルギーとして使用することが重要です。

出典:博報堂健康保険組合「焼肉を思う存分食べても太らない方法が知りたい!」

食後高血糖

糖質の取りすぎによって起こる身体の変化に、食後高血糖と呼ばれる状態があります。食後高血糖とは、食事から2時間後の血糖値が140mg/dl以上と高い状態のことです。

食後に高くなった血糖値は、通常であれば2時間以内には正常値に戻ります。

しかし、食後高血糖の状態では、食後2時間が経過しても血糖値が正常値に戻りません。血液中に多くのブドウ糖が含まれる状態が長く続くことで、糖尿病・高血圧症などの生活習慣病や動脈硬化を発症するリスクが高まります。

また、食後高血糖の後に血糖値が急降下して正常値に戻るケースは「血糖値スパイク」と呼ばれます。血糖値スパイクは血糖値の急上昇・急降下により、血管へのダメージが蓄積され、生活習慣病や動脈硬化のリスクが高まります。食後高血糖の原因としては糖質の取りすぎのほかにも、体内のインスリン分泌機能の低下や、欠食(朝食を抜く)などさまざまな要因があります。

糖化

糖質の取りすぎは、老化の原因として近年注目されている「糖化」にもつながります。糖化とは、体内にあるタンパク質・脂質が糖と結びつく現象です。

肌の弾力を保つコラーゲン繊維やエラスチン繊維と結びつき糖化が起こると、シワ・たるみなどの肌トラブルが発生しやすくなるとされています。肌の老廃物が表皮に沈着して、シミ・くすみが見られるようになる可能性もあるでしょう。

さらに糖化が血管や内臓に起こった場合は、動脈硬化の発生や内臓機能の低下を招くとされます。骨や脳への影響もあると言われており、糖化はさまざまな症状を引き起こすリスクがあるとされています。

糖質を取りすぎた次の日の調整のコツ

糖質は、エネルギーとして使われなければ脂肪に変わります。糖質を取りすぎた場合は、翌日の献立で糖質コントロールをしたり、運動でエネルギーを消費したりするとよいでしょう。

以下では、糖質を取りすぎた次の日に行うべき調整について4つのコツを紹介します。

主食の量を減らす

糖質を取りすぎた次の日も普段通りの食事をすると、取り込んだブドウ糖をエネルギーとして使い切れません。ご飯・パン・麺類といった主食の量を減らすことで、糖質摂取量を調整できます。

例としてご飯を1食あたり茶碗1杯分(約150g)食べている方は、茶碗に半分(約75g)に減らす意識をしましょう。麺類の場合は半玉、パンは6枚切りを1枚程度に抑えるのが目安です。主食の量を減らせば糖質の量も減り、糖質の取りすぎで蓄えられたブドウ糖をエネルギーとして使いやすくなります。ただし、減らし過ぎてエネルギー不足にならないよう、主食で減らした分をタンパク質などのおかずで補うなど、全体的な食事のバランスを大切にしましょう。

糖質を減らしつつ食事の満足感を得るには、糖質をカットする加工済みのごはんやパン、麺類を食べる方法があります。また、コンニャク麺やコンニャク米など、低糖質な食品で主食をかさ増しするのもよいでしょう。

お菓子類を控える

甘いクリームやあんこを多く使い、生地に米や小麦などの食材を使うお菓子類は糖質量が多い食品です。糖質を取りすぎた翌日はお菓子類をなるべく控えましょう。

どうしても間食をしたいときは、糖質が少ない食材を選ぶことがおすすめです。糖質が少なめのお菓子の例をいくつか紹介します。

  • カカオ70%以上のハイカカオチョコレート
  • ゼリー
  • ヨーグルト
  • チーズ類
  • ナッツ類
  • 大豆やおからを主に使用したお菓子
  • プロテインバー

ゼリーやヨーグルトは砂糖が少ない、もしくは無糖の製品を選びましょう。チーズ類やナッツ類もなるべく味付けがされていない製品を選びます。加えて、個包装の食品であれば食べすぎを防ぎやすくなります。

また、ジュース類に含まれる糖質にも注意してください。炭酸飲料やフルーツジュースなどの清涼飲料水には糖質が多く含まれている製品が多く、お菓子ではなくジュースを飲むだけで糖質過多になる可能性があります。普段清涼飲料水を飲むことが多い方は、お水やお茶に変えるだけでも手軽に糖質を減らせます。

ビタミンB1やナイアシンが豊富な食材を選ぶ

糖質をエネルギーとして使う際は、ビタミンB1やナイアシンが重要な働きをします。糖質を取りすぎた次の日の食事内容には、ビタミンB1やナイアシンが豊富な食材を選びましょう。

まずビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーへと変換する際に補酵素として働くビタミンです。ビタミンB1は下記のような食材に豊富に含まれています。

●ビタミンB1が豊富な食材

  • 豚肉
  • レバー
  • さば
  • うなぎ
  • 玄米
  • ライ麦
  • ごま
  • など

出典:長寿科学振興財団「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」

一方のナイアシンは、糖質だけでなく脂質の代謝においても補酵素として働くビタミンです。ナイアシンの豊富な食材としては下記のものが挙げられます。

●ナイアシンが豊富な食材

  • 鶏肉
  • レバー
  • かつお
  • たらこ
  • さば
  • しいたけ
  • ひらたけ
  • など

出典:長寿科学振興財団「ナイアシンの働きと1日の摂取量」

ビタミンB1やナイアシンが豊富な食材を食べることで、取りすぎた糖質がエネルギーとして使われやすくなります。ビタミンB1・ナイアシンはいずれも水溶性ビタミンで、加熱すると煮汁などに多く流れ出ます。煮汁などもまとめて食べられる、汁物のような料理がおすすめです。

運動でエネルギーを消費する

糖質をなるべく早く消費するには、運動をすることが大切です。糖質を取りすぎた次の日には運動をして、糖質を筋肉のエネルギーとして消費しましょう。

糖質がエネルギーとして使われる比率は、短時間の激しい運動であるほど高くなり、特に無酸素運動は糖質を優先して消費する作用があるとされています。糖質を取りすぎた翌日のトレーニングの際は、ウォーキングやジョギングより、ウェイトトレーニングなどの筋力トレーニングを優先するとよいでしょう。

出典:佐賀市「運動によるエネルギー消費 」

一方で、有酸素運動は脂肪の消費を助けるため、すでに糖質が脂肪として蓄えられてしまった場合は、無酸素運動と合わせて行うことで効率よく落とせます。

どうしても運動の時間を作れない場合は、日常生活の中での運動量を増やす方法もあります。「エレベーターではなく階段を使う」「歩幅を広げて早歩きをする」などが日常生活で運動量を増やす例です。

糖質の取りすぎに対処するための食べ方のポイント

糖質の取りすぎによる高血糖や肥満に対処するには、食事について2つのポイントを押さえましょう。

・血糖値が急上昇しにくい食材を選ぶ

血糖値が急上昇しにくい、食物繊維が豊富な食材を選んで食べることで、高血糖や糖化を防ぎやすくなります。主食であれば玄米・雑穀米や全粒粉パン・ライ麦パン、全粒粉パスタ・蕎麦は食物繊維が多く、血糖値の上昇を緩やかにできる食材です。

また、おかずには海藻・緑黄色野菜・納豆などの水溶性食物繊維が豊富なメニューを選びましょう。水溶性食物繊維は糖質を包みながら胃や腸を移動するため、糖質の消化吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を防いでくれます。

・血糖値の急上昇しにくい食べ方を実践する

食材選びも重要ですが、同時に食べ方や食べるタイミングも血糖値の上がり方に影響します。特に、早食いしたり食事を抜いたりすると食後血糖値が上がりやすくなるので、そういった食べ方は避けるのが大切です。早食いにならないよう、食事の際は30回噛むのを意識しましょう。よく噛んで食べることは、満腹中枢を刺激するため食べすぎ防止につながります。

また、忙しいからと言って朝食を抜くなど欠食すると、次の食事で血糖値が上がりやすくなります。一方で、常に何か口にするのも血糖値が下がりきらない状況が続き、胃腸に負担がかかるため避けてください。食間は2~3時間以上開け、間食を避ければ、血糖値の上昇を緩やかにできます。

まとめ

糖質を取りすぎた次の日には、主食やお菓子の量を減らし、糖質の代謝にアプローチするビタミンB1やナイアシンが豊富な食材を取り入れた食事をしましょう。また、糖質を効率的に消費するには、ウェイトトレーニングなどの筋力トレーニングがおすすめです。

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石川 友理

監修者情報

石川 友理スポーツクラブ NAS 株式会社 管理栄養士

大学で栄養学を専攻し、管理栄養士の資格を取得。
卒業後はスポーツクラブ NAS でパーソナルトレーナー、キッズスクール指導者として運営に携わる。運動と栄養の関係性や重要性を伝えるため、会員様向けに栄養セミナー等の講座を定期的に開催している。

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