スクワットは効果絶大! 正しいスクワットの方法と意識すべきポイント
「キングオブエクササイズ」と呼ばれるスクワット。スクワットはスクワット・ベンチプレス・デッドリフトで「ビッグ3」と呼ばれることもあるほど、筋トレの代表的なエクササイズとして知られています。
この記事では、スクワットの効果・メリットや、注意点・デメリット、体の動かし方や意識すべきポイントを解説しています。
スクワットの正しいやり方や意識すべきポイントを知りたい方は、参考にしてみてください。
目次
Toggleスクワットの効果・メリット
まずはスクワットにはどのような効果やメリットがあるのかみていきましょう。効果やメリットを意識することで、スクワットを行うモチベーションが高まります。
下半身の筋肉が鍛えられる
スクワットは、脚の筋肉を強化するエクササイズの中でも、もっとも効果的で代表的な種目です。太ももの前にある大腿四頭筋群や太ももの後ろにあるハムストリングス、お尻にある大殿筋、ふくらはぎにある下腿三頭筋を中心に、下半身の筋肉の筋力向上、筋肥大を狙えます。
特に、太ももや臀部の筋力向上と筋肥大により、下記のような動きを伴うスポーツのパフォーマンスを向上できます。
走る動作
- ・ 短距離走や中長距離走
- ・ 球技のダッシュ
跳ぶ動作
- ・ 走り幅跳びや走り高跳びなど
- ・ 球技の跳躍(バスケットボール・バレーボールなど)
腰を回す動作
- ・ 打撃(野球・ゴルフ・テニスなど)
- ・ 投球(野球・アメリカンフットボールなど)
蹴る動作
- ・ ボールを蹴る(サッカー・ラグビーなど)
- ・ キック(キックボクシング・ムエタイなど)
スポーツで太ももや臀部の筋肉をまったく使わない種目は、ほぼありません。さまざまなスポーツのパフォーマンス向上に役立つため、多くの競技でスクワットが行われています。
また加齢に伴う筋力低下によって階段の上り下りや、重いものを持ち上げる動作が辛い場合、スクワットを行うことで日常生活のパフォーマンスを上げる効果もあります。
上半身の筋肉も鍛えられる
先述したとおり、スクワットは下半身の代表的なエクササイズです。一方で、体幹の姿勢を保つために上半身の筋肉も鍛えられます。
スクワットを行う時は体幹の姿勢の保持が重要です。体幹が丸まったり反ったりすると、腰を痛めてしまう可能性があるため、体幹をまっすぐにしなければなりません。
このとき、姿勢を保持するために、背中の脊柱起立筋やお腹の腹直筋、脇腹の腹斜筋、お腹のインナーマッスルである腹横筋が鍛えられます。このように下半身を鍛えながら、体幹も鍛えられることもスクワットの特長です。
特にバーベルを担いで行うバーベルスクワットは、使用重量が増えれば増えるほど、姿勢を維持するために体幹の筋力が必要です。高重量のバーベルを肩に担ぎながら、体幹の姿勢を維持しつつ下半身の筋力を発揮するため、全身を鍛えられます。
1種目で下半身から体幹まで多くの筋肉を鍛えられることがキングオブトレーニングと呼ばれる理由の1つです。
ダイエット効果
スクワットを行うことで、ダイエット効果を狙えます。下半身の筋肉が体全体の筋肉の約7割を占めているため、エネルギー消費が大きいことと、基礎代謝量が増えることが理由です。
一度に動員する筋肉が多ければ多いほど、その分エネルギーが必要なため、エネルギー消費が大きくなります。スクワットで鍛えられる大腿四頭筋・ハムストリングス・大殿筋は全身の筋肉の中でも、特にボリュームの大きな筋肉です。
さらにスクワットでは脊柱起立筋や腹直筋など、体幹の大きな筋肉も動かします。下半身と体幹の大きな筋肉が収縮するため、エネルギー消費が大きくなり、脂肪の燃焼が期待できるでしょう。
また大きな筋肉を肥大させることで、基礎代謝量を向上させられます。基礎代謝とは仰向けに寝て安静にした状態で消費されるエネルギーのことです。筋肉は維持するだけでもエネルギーを消費するため、筋肉量が多いほど基礎代謝量が多くなります。
スクワットによって下半身の大きな筋肉を肥大させることで、基礎代謝量を増やしましょう。基礎代謝量が増えれば痩せやすく太りにくい体を作れます。
骨密度の向上
スクワットによって、骨に負荷がかかることで骨の形成が促されるため、骨密度の向上に効果があります。そして骨密度が向上すれば、骨粗しょう症の予防や骨の劣化抑制につながります。スクワットのように体重と重りで骨に強い負荷がかかる運動は、より骨密度の向上に効果的です。
特にバーベルを担ぐスクワットは、「ストラクチュアルエクササイズ」と呼ばれる脊柱
負荷がかかる多関節トレーニングです。股関節・膝関節・足関節という下半身の3つの関節に負荷がかかるため、下半身の骨の骨密度上昇に効果があります。また体幹にも負荷がかかるため、背骨の骨密度向上にも効果的です。
骨粗しょう症によって骨折しやすい、背骨や大腿骨の骨密度向上を狙えます。
スクワットの注意点・デメリット
スクワットの効果とメリットを解説しましたが、注意点やデメリットもあります。注意点・デメリットを理解した上でスクワットを行いましょう。
自重ではすぐに限界が来る
体を鍛え始めたばかりの人の多くは、自宅で自重を使ったスクワットから始めます。しかし脚の筋力は強いため、自重スクワットではすぐに負荷が足りなくなり、効果があまり得られなくなってしまいます。効果を得続けるためには、筋力の向上に合わせて負荷を高めなければなりません。これを「過負荷の原理」と呼びます。
大胸筋や上腕三頭筋を鍛える腕立て伏せや、広背筋・上腕二頭筋を鍛える懸垂のように、上半身を鍛えるエクササイズは自重でもかなり鍛えられます。なぜなら上半身の筋肉は下半身の筋肉に比べて小さくて筋力が弱いことと、日常生活で強い筋力を発揮することが少ないためです。上半身の筋肉で、体重を支えることがあまりないため自重でも十分に鍛えられます。
しかし下半身の筋肉は先述したように大きな筋肉なため、筋力も強いです。体重を受けながら起き上がったり階段を上ったりしているため、日常からスクワットに近い動きをしています。そのため、自重で始めてもすぐに負荷が足りなくなってしまうのです。
効果を得るには、ジムに通ってダンベルやバーベルの使用が必要になります。
バーベルスクワットはケガのリスクがある
自重でのスクワットを卒業して負荷を高めるには、ジムに行ってダンベルやバーベル、マシンを使う方法があります。基本となるのはバーベルスクワットですが、間違ったやり方をするとケガをするリスクがあります。
特に膝と腰に注意が必要です。肩にバーベルを担ぐことで、肩から下の関節すべてに負荷がかかるため、膝が内側に入ったり腰が丸まったりすると、各部位を痛めてしまうリスクがあります。また、担ぎ方を間違えてスクワット中にバーベルを落としてしまう、重量を上げすぎてつぶれてしまうなどのリスクもあります。
そのためバーベルスクワットを始めるときは、必ずトレーナーに教わりながら行いましょう。バーベルスクワットを1人で行うのは、正しいフォームや重量設定、セーフティーバー設置の仕方を覚えてからにしてください。
バーベルスクワットは難易度が高い
先述したように、間違ったバーベルスクワットはケガのリスクがあるものの、正しく行えば非常に効果的です。しかし「正しいスクワット」の難易度が高いため、あまり効果が出ないエクササイズになってしまう場合があります。
例えば、バーを担ぐ位置によって、主に鍛えられる筋肉が変わります。肩の上部に担ぐ「ハイバー」では大腿四頭筋に効きやすく、低い位置に構える「ローバー」ではハムストリングスや大殿筋によく効きます。
しっかり効果を得るには、バーベルを担ぐ位置や、膝・腰・体幹の角度など、トレーナーに詳しく教えてもらいましょう。もしくは、より簡単なマシンやダンベルを使ってスクワットを行う方法もあります。
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スクワットで意識する関節の動き
スクワットは複数の関節を動かすコンパウンド種目(多関節運動)です。スクワットでは膝関節、股関節、くるぶし関節(足関節)が屈曲と伸展をします。それぞれ正しい使い方を覚えて、安全かつ効果的にスクワットを行いましょう。
膝関節の屈曲・伸展
スクワットのしゃがむ動作を膝の屈曲、立つ動作を膝の伸展といいます。一般的には持ち上げる動作である膝の伸展が意識されますが、膝の屈曲も重要です。
スクワットでは、大腿四頭筋が収縮しながら膝が屈曲します。本来、大腿四頭筋は膝を伸展する働きがありますが、ゆっくり屈曲させるときは収縮しながら、筋肉が引き伸ばされます。「収縮しながら、筋肉が引き伸ばされる」というと矛盾するようですが、この収縮を「エキセントリック収縮」といいます。ゆっくり膝を屈曲させるために必要な収縮です。このエキセントリック収縮がないと、体重とバーベルの落下するスピードが上がり、膝に大きな負荷がかかるため、ケガのリスクが高まります。
屈曲した後は大腿四頭筋が収縮して膝が伸展します。このように筋肉が収縮して縮むことを「コンセントリック収縮」といいます。なおエキセントリック収縮の時も、コンセントリック収縮の時も、筋肉は鍛えられます。
股関節の屈曲・伸展
股関節はしゃがむ動作が屈曲で、立つ動作が伸展です。スクワットで股関節の屈曲・伸展に働く筋肉はハムストリングスと大殿筋です。しゃがむ動作のときにエキセントリック収縮をして、立つ動作のときにコンセントリック収縮をします。
スクワットでは膝関節の屈曲・伸展は意識しなくても行われるものの、股関節の屈曲・伸展が疎かになる場合が多いため、股関節の動きを意識することが重要です。
特に自分の筋力以上のバーベルを担いだ場合、膝を伸展してから股関節を伸展して持ち上げる、という動作になりがちです。この動作はとても腰に負担がかかって危険なため、膝と股関節の伸展を同時に行うように意識しましょう。
くるぶし関節(足関節)の屈曲・伸展
くるぶし関節は、しゃがむ動作が伸展、立つ動作が屈曲です。膝関節と股関節とは屈曲・伸展が反対になります。しゃがむ動作で下腿三頭筋がエキセントリック収縮し、立つ動作でコンセントリック収縮します。
しゃがむ動作でくるぶし関節が伸展する時、足の裏はしっかりと地面に固定されていなければなりません。しかし下腿三頭筋に柔軟性がないと、しゃがむ動作で十分に伸展できず、かかとが浮いてしまう場合があります。バランスを崩して非常に危険なので、柔軟性がない人は下腿三頭筋をストレッチして柔らかくしましょう。
ふくらはぎを柔らかくできれば、より深くしゃがめるようになるためスクワットの効果が高まります。
関節以外で意識すべきポイント
バーベルスクワットでは関節以外にも意識すべきポイントがあります。ここでは主に、背中を丸めない、バーベルを手で担ごうとしない、腹圧をかける、膝を内側に入れないといったポイントについて説明します。
背中を丸めない
スクワットは背中を丸めてしまうと腰を痛めるリスクがあるため、背中をまっすぐにすることがポイントです。特にバーベルスクワットで背中を丸めてしまうと、腰に大きな負担がかかります。背中を丸めないためには、脊柱起立筋や腹直筋を収縮させる、骨盤を前傾させる、胸を張ることを意識するなどがあります。
脊柱起立筋は体幹を反らせる筋肉で、腹直筋は体幹を曲げる筋肉です。この2つが筋肉が収縮することで拮抗し、体幹がまっすぐに保たれます。骨盤の前傾とは骨盤が前に傾くことです。骨盤が後傾すると背中が丸まって腰を痛めやすくなってしまいます。骨盤には太ももの筋肉がついており、大腿四頭筋が柔らかくハムストリングスが硬いと、骨盤がハムストリングスに引っ張られて骨盤が後傾してしまいます。
どうしても背中が丸まってしまう場合は、ハムストリングスが硬い可能性があるため、ストレッチが必要です。
バーベルを手で担ごうとしない
バーベルを手で担ごうとすると、バランスを崩して危険なため「背中で担いで手は添えるだけ」という意識で行いましょう。手だけで持とうとすると、ふとした瞬間にバーを後ろに落としてしまう可能性があります。バーベルを落とすと足首に落下したり、転がって近くにいる人に当たったりするリスクがあるため、とても危険です。
初心者がバーベルスクワットを行う際は、バーベルの真ん中にパッドを巻いて首の下で担ぎましょう。このとき背中にしっかり乗せつつも、パッドが回転してバーベルが後ろに落ちないように、手を添えてバランスをとってください。
重量が100kg近くになってきたらパッドを外します。重量が上がるほど、重量によってパッドが回りやすくなり危険なためです。バーをそのまま、三角筋後部(肩の後ろ)と僧帽筋(首の下)の筋肉に乗せます。重量が上がるほどこの方法の方が安定します。
なおこの方法で安定させるには、僧帽筋と三角筋後部のボリュームがある程度必要なので、同時に鍛えておきましょう。
腹圧をかける
腹圧をかけて体幹を安定させることも重要です。体幹が安定すれば腰痛予防になり、さらにフォームが安定して高重量を扱えるようになります。
腹直筋、腹斜筋、腹横筋などお腹全体に力を入れて腹圧をかけ体幹を固定します。呼吸はしゃがむ動作で吸って、立つ動作で吐きますがどちらも腹圧は抜かないようにしましょう。
可能であればトレーニングベルトを巻いてください。初心者も、薄めのベルトでよいのでできるだけ付けましょう。「初心者なのにトレーニングベルトが恥ずかしい……」という方もいるかもしれませんが、決して恥ずかしいことではありません。トレーニングベルトを巻くことで自然に腹圧が高まり体幹が安定します。特に100kg以上の高重量を扱うときはトレーニングベルトが必要です。
膝を内側に入れない
しゃがむ動作で内股になって膝が内側に入ることを「ニーイン」といいます。膝の内側の靱帯や外側の半月板を損傷するリスクがあるので気をつけてください。膝とつま先の向きを一致させることが重要です。
まとめ
スクワットは、1種目で下半身も上半身も鍛えられる、とても効果的なエクササイズです。またダイエット効果や骨密度を向上させる効果もあるため、年齢性別問わずおすすめします。しかし自重ではすぐに負荷が足りなくなり、バーベルスクワットを行おうにも難易度が高い特徴があります。
スクワットで継続的に効果を得たい場合は、スポーツジムに通いトレーナーの指導を受けながら挑戦しましょう。トレーナーに正しいフォーム、重量設定を指導してもらえば、安全かつ効果的にスクワットを行えます。
筋肥大やダイエットなどの目標達成も早くなります。スクワットの正しいやり方を身につけたい方はぜひ一度、 スポーツクラブNAS を見学してみてください。
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