皮下脂肪がたまる原因は? 効果的に落とす方法を徹底解説
皮下脂肪は体の外側に蓄積される脂肪で、下腹部やお尻などに知らぬ間にたまっていきます。食生活の乱れや運動不足、ストレスなどが原因で、過剰についてしまっている場合も少なくありません。皮下脂肪が多いと健康リスクを高めると同時に、体型が大きく崩れる要因にもなります。
皮下脂肪はダイエットにおける「難敵」であり、なかなか思いどおりには落とせません。本記事では、皮下脂肪がたまる原因と、効果的に落とす方法を解説します。
目次
Toggle皮下脂肪とはどのようなものか
体脂肪は、主に皮下脂肪と内臓脂肪に分けられます。まず、皮下脂肪とはどのようなものか、内臓脂肪とどう違うのかを理解しましょう。
皮下脂肪とは
皮下脂肪とは皮膚と筋肉の間にある皮下組織に蓄積した脂肪のことです。体表近くに存在し、外部からの衝撃を吸収したり、寒さで体温が奪われないようにしたりする働きがあります。災害や遭難などによって飢餓状態に陥ったときには、皮下脂肪に蓄えられたエネルギーが生命維持のために使われます。適切な量の皮下脂肪は、私たちの健康に役立つ組織だといえるでしょう。
皮下脂肪は全身に分布していますが、特に胴回りや太ももの裏側、二の腕に多く付きやすい傾向があります。また、一般的に男性よりも女性のほうが皮下脂肪の割合が多くなります。これは女性ホルモンの働きによるもので、女性は外見的にも丸みを帯びた体型になる傾向があります。
皮下脂肪は比較的ゆっくりと蓄積していくことから、一度付いてしまうと落とすのに時間がかかるのが難点です。長期間にわたって食べすぎや運動不足が続くと、下半身がふっくらとした「洋ナシ型肥満(皮下脂肪型肥満)」になってしまう恐れがあります。
内臓脂肪との違い
内臓脂肪は文字どおり内臓の周囲、特に胃や腸の近くに蓄積される脂肪を指します。皮下脂肪が女性に付きやすいのに対し、内臓脂肪は男性に比較的多く蓄積される傾向があります。内臓脂肪が多い人は、腹部が前に突き出たような見た目になるのが特徴です。これを「リンゴ型肥満(内臓脂肪型肥満)」と呼びます。
内臓脂肪は体のエネルギーが不足した際に、素早くエネルギーに変換するために蓄えられている脂肪です。しかし、内臓脂肪が蓄積した場合に「アディポサイトカイン」の分泌異常が起こるリスクにも注意する必要があります。アディポサイトカインは脂肪細胞から出る生理活性物質で、TNFαやIL6などの炎症物質を含んでいます。
内臓脂肪が過度に蓄積されると、さまざまな生活習慣病を引き起こすといわれています。いわゆる「メタボ(メタボリックシンドローム)」の状態です。具体的には、高血圧や高血糖、脂質異常症、動脈硬化などのリスクが高まり、最悪の場合には心筋梗塞や脳梗塞にもつながります。メタボの人は2型糖尿病を発症するリスクも通常の約3倍になるとされています(※)。
※出典:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「メタボってなに?」
皮下脂肪が増える原因
余分な皮下脂肪が付くかどうかは、私たちの生活習慣に大きく左右されます。基本的には、日常の食事や運動、睡眠、ストレスなどによる影響です。皮下脂肪が増える原因を正しく理解して生活習慣を見直すことが、皮下脂肪の減少と抑制につながります。
摂取エネルギー量が多い
食べすぎ、つまり食事から摂取するエネルギー(カロリー)が消費エネルギーを上回ると、皮下脂肪の増加を招きます。私たちが日常生活を送っていく中で、以下のような消費エネルギーがあります。
- ・ 基礎代謝量:呼吸や内臓機能、体温調節などの生命維持に必要な消費エネルギー
- ・ 活動代謝量:仕事や家事、運動などの日常生活で行われる活動による消費エネルギー
- ・ 食事誘発性熱産生:食事の際、消化吸収の過程で発生する熱にともなう消費エネルギー
これらの消費エネルギーを上回る量のエネルギーを摂取すると、余ったエネルギーは脂肪として蓄積されます。特に、高脂質・高糖質の食事はエネルギーの過剰摂取になりやすいため注意が必要です。
食事のバランスも重要で、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維といった栄養素の摂取は、皮下脂肪が付くことを抑えるのに役立ちます。また、食事のタイミングや食べるスピードを調整することも大切です。食事中にゆっくり噛むことで満腹感を感じやすくなり、早食いによる過食を防げます。
活動代謝量が少ない
前項で述べた日常生活中の消費エネルギー割合は以下のとおりです。
1日(24時間)の消費エネルギーの割合
- ・ 基礎代謝量 約60%
- ・ 活動代謝量 約30%
- ・ 食事誘発性熱産生 約10%
※出典:厚生労働省e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
基礎代謝量は体格や筋肉量に、食事誘発性熱産生は食事摂取量に依存します。基礎代謝量は短期間では変動しませんし、食事誘発性熱産生を高めようとすると摂取エネルギーも大きくなってしまいます。したがって、総エネルギー消費量を効果的に増やすには、活動代謝量を多くするしかありません。
逆にいえば、日々の身体活動が不足して活動代謝量が少ないと、皮下脂肪が付きやすくなるということです。日常生活の中での小さな運動、例えば階段の利用や歩く距離を増やすことも、活動代謝量を増やす手助けとなります。あるいは、1日合計30分〜1時間の有酸素運動を取り入れるとなおよいでしょう。
「消費エネルギーが摂取エネルギーを上回るようにすること」が有効な皮下脂肪対策であると同時に、ダイエットの基本中の基本です。
睡眠不足とストレス
十分な睡眠を取れているかどうかが、エネルギー代謝やホルモンバランスに影響を与えます。睡眠不足になると食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減少し、逆に食欲を増進させるホルモン(グレリン)が増加します。これにより食事量が増加して、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る結果になりやすいです。十分な睡眠を取れば成長ホルモンの分泌が促され、筋肉の発達や脂肪の分解を助けます。
ストレスも皮下脂肪が増える要因の一つです。ストレスがたまると、コルチゾールというホルモンが分泌されます。増えすぎたコルチゾールは成長ホルモンの働きを阻害し、基礎代謝量を低下させてしまいます。さらにインスリンの過剰分泌を引き起こして、脂肪がつきやすい体になるのも問題です。
リラックスする時間を持つことや適切な休息をとること、趣味やリラクゼーションを取り入れることなど、ストレスを軽減する習慣を持つことで皮下脂肪の増加を防げます。
皮下脂肪がたまるとどうなるか
皮下脂肪がたまると見た目に太ったことが分かります。スタイルを気にする人にとっては太ること自体がデメリットとなりますが、それ以外にどのような問題が起こるのでしょうか。
健康リスクを高める
体脂肪が増えすぎると肥満になります。皮下脂肪が多いタイプの肥満を「皮下脂肪型肥満」または「洋ナシ型肥満」、内臓脂肪が多いタイプの肥満を「内臓脂肪型肥満」または「リンゴ型肥満」と呼ぶのは、すでに述べたとおりです。
さまざまな生活習慣病の引き金になる内臓脂肪型肥満の方が、より健康リスクが高いといえます。しかし、皮下脂肪型肥満は放置してもよいという訳ではありません。例えば睡眠時無呼吸症候群などの原因になるからです。また、分泌異常になると危険視されるアディポサイトカインは、皮下脂肪からも分泌されています。内臓脂肪ほど多くは分泌されないので問題になりにくいですが、皮下脂肪が過剰に蓄積するのは避けるべきでしょう。
皮下脂肪が増えて肥満になると、体が重く感じる上にひざや腰にも負担がかかるため、活動量が落ちてしまいがちです。活動量の低下でエネルギー消費量も少なくなれば、さらに肥満が進行しやすくなります。皮下脂肪の増えすぎが健康問題を引き起こすことを十分に理解しておく必要があります。
脂肪を落としにくい
皮下脂肪も内臓脂肪も、基本的にはカロリー摂取量の過多と活動量の不足によって増加します。しかし、皮下脂肪のほうが内臓脂肪より付きにくく、落としにくいといわれています。食事制限と合わせてウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を適切に行えば、比較的早く内臓脂肪の量が減っていくのに対して、皮下脂肪は3ヶ月から半年程度の中長期的な取り組みが必要です。
皮下脂肪が落としにくいのは、生命維持の役割を持っているためです。トップアスリートやボディービルダー、あるいは摂食障害患者などには体脂肪率が10%を切っている人もいますが、免疫力が低下して風邪を引きやすくなったり、女性の場合は生理不順が起こったりします。ダイエットで減量を目指す場合でも、標準的な範囲の皮下脂肪と体脂肪率を保つようにしましょう。
標準的な皮下脂肪率と体脂肪率
皮下脂肪率 | 体脂肪率 | |
---|---|---|
男性 | 8.6〜16.6% | 10.0~19.9% |
女性 | 18.5~26.6% | 20.0~29.9% |
なお男性は体脂肪率20.0%以上、女性(15歳)は体脂肪率30.0%以上から「軽肥満」とされます。
※出典:パナソニック株式会社「体組成計で計測できる体脂肪率、皮下脂肪率、内臓脂肪レベルとは」
皮下脂肪の効果的な落とし方
皮下脂肪は落としにくい脂肪ですが、効果的な方法を継続していれば着実に減少していきます。ここでは、皮下脂肪の効果的な落とし方を紹介します。
食事内容を見直す
皮下脂肪を効果的に減少させるためには、毎日の食事内容を見直すことが不可欠です。脂肪の蓄積には摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスが大きく関わっています。したがって、摂取エネルギー量を適切にコントロールしなければ皮下脂肪は落とせません。
摂取エネルギーを見直す際は、厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」(2020年版)を参考にするとよいでしょう。下記の表を参考に摂取カロリーと消費カロリーがマイナス収支になるように調整します。ただし、極端な食事制限は長続きしないので、おだやかな差分で長期的に続けるのがポイントです。
エネルギーの食事摂取基準:推定エネルギー必要量(kcal/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
15~17歳 | 2,500 | 2,800 | 3,150 | 2,050 | 2,300 | 2,550 |
18~29歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,700 | 2,000 | 2,300 |
30~49歳 | 2,300 | 2,700 | 3,050 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
50~64歳 | 2,200 | 2,600 | 2,950 | 1,650 | 1,950 | 2,250 |
65~74歳以上 | 2,050 | 2,400 | 2,750 | 1,550 | 1,850 | 2,100 |
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
摂取エネルギーを考慮すると同時に、適正なPFCバランスになっているかも確認しましょう。特にタンパク質は筋肉の生成に必要な栄養素であり、ダイエット中でも筋肉量を維持して基礎代謝の低下を防ぎます。そのほか、ビタミンやミネラル、食物繊維なども健康的に減量していくために大切な栄養素です。
有酸素運動を行う
皮下脂肪を落とすには有酸素運動も有効です。有酸素運動とは、酸素を取り入れながらエネルギーを生み出す運動で、体脂肪を分解してエネルギー源に変えて消費できます。直接的な脂肪燃焼効果が期待できることから、人気のあるダイエット方法の一つです。
皮下脂肪を効果的に落としたいなら、有酸素運動を基本にして食事制限や筋肉トレーニングを併用することをおすすめします。しかし、目に見えて分かるほど皮下脂肪が減少するまでには時間がかかります。これは皮下脂肪よりも内臓脂肪の方が優先的に消費されていくためです。
有酸素運動でポピュラーな種目としては、ウォーキングやジョギング、サイクリング、ダンス、水泳などがあります。ほとんどが全身運動であることから、体全体に適度な筋肉を付けることが可能です。筋肉量が増えれば基礎代謝量がアップし、消費エネルギーの増大にもつながります。1日20~30分を目安にして、有酸素運動を生活サイクルに取り入れましょう。合計時間で稼げればよいので、隙間時間を積み重ねるやり方でも問題ありません。
筋力トレーニングを行う
皮下脂肪をしっかり落としたいなら、筋力トレーニングは欠かせません。内臓脂肪よりも手ごわい皮下脂肪を減らすには、基礎代謝量の大幅な向上が必要だからです。有酸素運動がどんなに脂肪燃焼に有効であったとしても、1日で実施できる時間は限られています。筋肉トレーニングで基礎代謝量を高めて、座っているときも眠っているときも、いつでも多くのエネルギーを消費できる体になれば、皮下脂肪を効率よく落とせるようになるでしょう。
ボディービルダーのような体型を目指さないとしても、ダイエット中は筋力トレーニングをすることを強くおすすめします。脂肪だけでなく筋肉まで落ちてしまったら、リバウンドするリスクが高くなるからです。ダイエットで食事量を減らすと、不足分のエネルギーを補うために筋肉が分解されやすくなります。筋肉量が減れば基礎代謝量が下がり、ダイエット前よりも太りやすい体質になってしまうのです。
HIITに取り組む
HIIT(High-Intensity Interval Training)は、高強度インターバルトレーニングの略称です。高強度の運動と休憩(または軽い運動)を、短時間ずつ交互に繰り返すトレーニング方法で、わずか数分取り組むだけで高い脂肪燃焼効果が得られます。
HIITの具体的方法として有名なのは「タバタプロトコル」です。タバタプロトコルは、20秒間の運動と10秒間の休憩を8回繰り返すというシンプルなものです。さまざまな無酸素運動の種目に適用させることができます。合計時間はたったの4分ですが、非常に厳しいトレーニング方法といえるでしょう。
HIITを行った後は「アフターバーン効果」という代謝が促進される状態になります。運動後の数時間、長ければ24時間以上も高いレベルでエネルギー消費が持続するため、脂肪燃焼に非常に効果的です。
適切なストレス管理を行う
「ストレス太り」という言葉があるように、ストレスと肥満は密接に関わっています。私たちがストレスを感じたときに分泌される「ドーパミン」と「コルチゾール」の作用によるものです。
ストレスによる興奮で脳が分泌したドーパミンは、摂食中枢を刺激して食欲を増進させます。ドーパミンは満腹中枢に作用する「レプチン」の働きも弱めるため、過食の原因にもなります。
また、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールも、食欲を増加させる一因です。さらに成長ホルモンの分泌も抑えるため、筋肉の再生や修復が不十分になります。結果的に筋肉量が落ちて、基礎代謝量が低下します。
適切な睡眠をとったり余暇を楽しんだりして、ストレス管理を行うことも皮下脂肪を落とすために必要です。
まとめ
皮下脂肪を落とすのは、長期にわたる地道な作業となります。単に減量するよりも難易度が高く、短期間で結果が出るような近道はありません。根気よく続けた者だけが、理想の皮下脂肪率を手に入れられるのだと心得ましょう。
途中で挫折しないようにするには、仲間をつくって楽しみながらダイエットに取り組むのも方法の一つです。仲間づくりのためにスポーツジムに入会を検討してみましょう。本記事で紹介したような食事の改善や有酸素運動、筋力トレーニングもプロと併走して行うことができます。皮下脂肪をなんとしても落としたい方は、ぜひ スポーツクラブNAS にお問い合わせください。
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