皮膚の免疫力をアップする食べ物は?バリア機能に関わる栄養素を解説
皮膚の免疫力を左右し、乾燥肌や肌の炎症の発生に影響を与えるのが、皮膚の持つ「バリア機能」です。しかし、スキンケアに問題があったり、紫外線対策が不十分だったり、乾燥した空気に触れ続けていたりするとバリア機能は低下し、肌荒れや肌のごわつきの原因になります。正しいスキンケアをするだけでなく、皮膚の免疫力アップに期待できる食べ物を食生活に取り入れれば、健康的な肌の状態を維持しやすくなるでしょう。
この記事では皮膚の免疫に影響を与えるバリア機能や、免疫力アップに期待できる栄養素を手軽に取れる食べ物、免疫力アップにつながる生活習慣について解説します。
目次
Toggle皮膚の免疫力において重要なバリア機能とは
皮膚のバリア機能を維持することは、健やかな肌の状態を保つ上で重要です。
バリア機能とは、アレルギー物質・ウイルス・細菌などの異物の侵入を防ぐために備わっている皮膚表面の機能です。皮膚の表皮は、角質層・顆粒層・有棘層・基底層の4つに分けられており、バリア機能は角質層に存在します。
バリア機能には、刺激や異物から肌を保護する「皮脂膜」、水分や保湿成分を蓄える「天然保湿因子」、角質層内の水分を維持する「細胞間脂質」の3つがあります。皮膚のうるおいを守り、炎症や乾燥を防ぐ上で、バリア機能の働きは重要なポイントです。
バリア機能が低下する理由
皮膚のバリア機能が低下する主な理由は、下記の通りです。
- 間違ったスキンケア
- 紫外線によるダメージ
- 冷房や暖房による空気の乾燥
洗顔の頻度が多かったり洗い方が間違っていたりすると、刺激となってバリア機能が低下するきっかけになります。「ゴシゴシ洗わない」「洗顔料はしっかりと洗い流す」など、肌に刺激を与えないように注意しましょう。洗顔後は、肌の水分を逃がさないようにしっかり保湿することも大切です。
紫外線や空気の乾燥は、肌の乾燥を引き起こしやすく、角質層が剥がれる原因になります。角質層に隙間ができるとバリア機能の低下につながるため、紫外線対策や部屋の加湿をして肌を守りましょう。
バリア機能が低下すると、刺激や異物が皮膚の内部に侵入して炎症や赤みが起こりやすくなるほか、水分を保持する力も低下して乾燥肌につながります。また、皮膚の古い細胞が新しい細胞に入れ替わる「ターンオーバー」が遅くなる原因にもなり、自然に入れ替わるはずの角質層が残るため、肌がごわごわした印象を与えます。
皮膚の免疫力アップに期待できる栄養素・食べ物
肌の調子を整えるには、皮膚の免疫力アップに期待できる栄養素を摂取して内側からケアすることが大切です。水に溶けやすい栄養素や熱に弱い栄養素もあるため、効率良く摂取できるように特徴を理解しておきましょう。
皮膚の免疫力アップに期待できる栄養素の特徴と、それぞれの栄養素を多く含む食べ物を紹介します。
タンパク質
タンパク質は、人間の体を構成する細胞の原料となる3大栄養素の1つです。筋肉・肌・髪などを作るために欠かせない栄養素であり、酵素やホルモンとして代謝を調整したり、抗体として生体防御に働いたりするなど免疫にも大きく影響します。
タンパク質の1日あたりの推奨量は、18~64歳の男性の場合65g、65歳以上の場合60gです。18歳以上の成人女性の推奨量は50gです。
【タンパク質を手軽に取れる食べ物】
- 鶏ささみ
- マグロ
- 大豆製品
- 卵
- 牛乳
肉や魚、卵に含まれる動物性たんぱく質には、体内で合成できない必須アミノ酸が豊富に含まれます。一方で、肉や魚には取りすぎると脂質やエネルギーを過剰摂取しやすい欠点があるため、大豆製品をはじめとした植物性たんぱく質もバランスよく取り入れるのが大切です。
食事からの必要量の摂取が難しい場合は、プロテインを取り入れるのもおすすめです。忙しくて時間がない人でも、飲み物であれば手軽に必要量を摂取できます。プロテインの飲み方については、以下の記事を参考にしてください。
ビタミンB2
ビタミンB2は、エネルギーを作りだすために必要な栄養素の1つです。特に脂質の代謝に関わっています。皮膚や粘膜などの細胞の保護や再生に働きかけ、成長の促進にも欠かせないビタミンのため「発育ビタミン」とも呼ばれています。ビタミンB2の1日あたりの推奨量は、男性の場合18~49歳では1.6mg、50~74歳1.5mg、75歳以上1.3mg、女性の場合18~74歳1.2mg、75歳以上1.0mgです。
一般的な食品でビタミンB2を100gあたり1mg以上含有するものはレバー以外はなく、通常の食事で過剰摂取による健康への心配はありません。
ビタミンB2は体内で飽和状態になると、過剰分が尿中に排出されます。体内に貯めておけない栄養素なので、日々の食事から必要量をこまめに摂取することが大切です。
【ビタミンB2を手軽に取れる食べ物】
- 納豆
- うなぎ
- 豚レバー
- 青魚
ビタミンB2は、熱による損失が少なく加熱調理をしても栄養素をしっかりと摂取できます。ビタミンB2は脂質を分解するときに消費されるため、脂っこい食事や外食の多い人、エネルギー消費量の多い人は不足しないように注意しましょう。ダイエット中は食事量が減るため不足しがちですが、脂質の代謝のためにも不足させないのが大切です。
ビタミンB2を手軽に取れる納豆には、免疫細胞の材料の1つであるタンパク質や、腸内環境を整えるために必要なオリゴ糖と食物繊維が含まれています。オリゴ糖と食物繊維は、善玉菌のエサになる栄養素です。
ビタミンB6
ビタミンB6は、主にたんぱく質の代謝に関わる栄養素で、皮膚の抵抗力の維持や免疫機能の正常な働きの維持、ホルモンバランスを整える役割があります。たんぱく質摂取量が多いとビタミンB6の必要量も増加します。ビタミンB6の1日あたりの推奨量は、18~64歳の成人男性が1.4mg、同年代の成人女性は1.1mgです。
以下のような食材を取り入れて、日々の食事でこまめに摂取しましょう。
【ビタミンB6を手軽に取れる食べ物】
- 赤身肉
- 鶏肉
- 牛レバー
- マグロ
- バナナ
ビタミンB6は、冷凍や加工によって壊れやすく、水溶性で光にも弱いため、できるだけ新鮮な状態の食材をシンプルな方法で調理して食べましょう。
ビタミンB群は助け合って働く栄養素であるため、ビタミンB2も一緒に摂取するのがおすすめです。
ビタミンC
ビタミンCは、皮膚や粘膜を構成するコラーゲンの合成に働きかける栄養素です。抗酸化作用にも優れているため、肌の老化や免疫機能の低下を抑制する効果も期待できます。特に、喫煙やストレスがある人は必要量が増加します。
ビタミンCの1日あたりの推奨量は、18~64歳の成人男性・同年代の成人女性ともに100mgです。
ビタミンCは、普段の食事からこまめに摂取するのが大切です。過剰摂取した場合、消化管での吸収率の低下や体外排泄量が増えて調節されますが、サプリメントなど食品以外の手段で1日1g以上摂取するのは推奨できません。
【ビタミンCを手軽に取れる食べ物】
- パプリカ
- オレンジ
- ブロッコリー
- キウイフルーツ
- イチゴ
ビタミンCは、熱に弱く水に溶けやすい性質があります。調理する場合は、加熱しすぎないことと水にさらす時間を短くすることがポイントです。オレンジやキウイフルーツなど生で食べられる果物や野菜を選ぶと、効率良くビタミンCを摂取できます。また、いも類に含まれるビタミンCは比較的熱に安定しています。
カリウム
カリウムは、細胞の浸透圧の調整機能を持つ必須ミネラルの1つです。過剰なナトリウムの排出を促して体内のむくみを防いでくれます。皮膚に溜まった過剰な水分を排出することで、皮膚の免疫力アップが期待できます。
カリウムの1日あたりの摂取目標量は、目標量は、成人男性が3,000mg、成人女性は2,600mgです。
カリウムはさまざまな食品に含まれているので、通常の食生活で不足することはありません。むしろ、サプリメントによって短時間で過剰に摂取すると高カリウム血症を引き起こすリスクがあるため注意しましょう。普段の食事の中でナトリウムの摂取量を控え、カリウムを含む食材を摂取することが大切です。
【カリウムを手軽に取れる食べ物】
- アボカド
- ほうれん草
- バナナ
- キウイフルーツ
- いも類
- アーモンド
カリウムは水に溶けやすい性質があります。茹でたり水にさらしたりする場合は、短時間で調理するのがポイントです。
皮膚の免疫力アップにつながる生活習慣のコツ
日々の生活習慣も見直すことで、皮膚の免疫力アップを目指しやすくなります。
皮膚の免疫力アップにつなげる生活習慣のコツは、以下の通りです。
・こまめに飲み物を飲む
体内の水分が不足すると、血行が悪くなり肌の新陳代謝が低下します。皮脂分泌の減少や皮膚の乾燥を防ぐためにも、こまめに飲み物を飲みましょう。喉が渇いたと感じる前に飲むことがポイントです。
・しっかりと睡眠をとる
睡眠中は、皮膚の細胞のターンオーバーが活発になります。睡眠不足や不規則な就寝時間は成長ホルモンの分泌を低下させるため、規則正しくしっかりと睡眠をとることが大切です。質の良い睡眠は、肌荒れの原因となるストレスの緩和にも効果が期待できます。
・肌を保湿する
皮膚にしっかり水分を与えるためには、外側からのケアも重要です。洗顔後は化粧水でたっぷりと水分を与えて、蒸散を防ぐためにしっかりと保湿しましょう。乾燥が気になる場合は、ワセリンや保湿効果の高いクリームなどを使うのも1つの方法です。
・適度な運動を心がける
適度な運動を習慣化すると、血行が良くなり肌に必要な栄養素や酸素が行き渡りやすくなります。汗をかくと毛穴に詰まった皮脂が排出されるため、肌荒れの予防にもつながります。ジョギングやウォーキングなど、血行や代謝が促進される有酸素運動がおすすめです。
肌をすこやかな状態に保つためには、栄養バランスのとれた食事と規則正しい生活の両方を意識することがポイントです。
まとめ
タンパク質は体内で分解され、体の細胞の材料となる栄養素です。ビタミンB2は皮膚や髪などの細胞の保護や再生に働きかけ、ビタミンB6は皮膚の抵抗力の維持やホルモンのバランスを整える役割を持ちます。ビタミンCはコラーゲンの生成と抗酸化作用があり、カリウムにはナトリウムを排出しむくみを抑える効果に期待できます。栄養バランスのとれた食事を取り入れ、十分な睡眠や保湿、適度な運動を心がければ、皮膚を健康な状態に保ちやすくなるでしょう。
自分の食事について気になる方は、スポーツジムのトレーナーにご相談ください。トレーナーは専門知識にもとづいて食事指導も行っているほか、トレーニングに合った食事の知識も備えています。トレーニングと食事の両方で肌の健康を保ちたい人は、お近くのスポーツクラブNASの店舗までお問い合わせください。
監修者情報
須田 華緒里スポーツクラブ NAS 株式会社 管理栄養士
大学で栄養学を学び、管理栄養士の資格を取得。
スポーツクラブ NAS で栄養講座や個別栄養指導、スタジオレッスンやキッズスイミングの指導を行いながら、店舗の運営業務全般に携わり、マネージャー業務にも従事する。多方面からお客様の健康をサポートしている。
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