肩の筋肉を鍛えるメリット!健康的な生活と美しいボディラインを得る
肩の筋肉の発達具合は他人からもよく分かるため、見た目を左右する部位であるといえます。三角筋や僧帽筋などの肩周りの筋肉は、姿勢や体調、スポーツのパフォーマンスにも影響するので、鍛えるメリットは多いです。
今回は、肩を構成する筋肉の基礎知識を踏まえ、鍛えるメリットやエクササイズについて詳しく解説します。
目次
Toggle肩を構成する筋肉
肩関節は広い可動域を持ち、上半身の動きに欠かせない複雑な構造をしています。肩付近に位置するのは「三角筋」「僧帽筋」「菱形筋」という3つの筋肉です。以下、これらの筋肉をさらに細かい部位に分けて解説します。
三角筋
三角筋は肩関節を覆い保護する筋肉です。肩の動きに直接関わる重要な筋肉で、腕を前後左右に動かす動作にも関わっています。上半身にある筋肉の中で最も体積が大きく、日常動作において頻繁に使われる部位です。
三角筋を鍛えれば肩の筋肉全体が大きくなるため、逆三角形のシルエットを作りやすくなります。上半身が引き締まるだけでなく、なで肩も改善され、姿勢がよく見えるでしょう。筋肉量を増やすことで安定性も高まり、肩関節のけがを防ぐ効果も期待できます。ただし三角筋のトレーニングをする際は、肩関節に過度な負荷をかけないよう注意が必要です。
三角筋は起始部から前部、中部、後部の3つの筋繊維に分かれており、それぞれが特有の機能を持っています。
三角筋前部
三角筋前部(鎖骨部)は、鎖骨外側端から上腕骨につながっています。主に、肩の屈曲(腕を前に上げる動き)、水平内転(腕を横から内側に絞る動き)、内旋(腕を内側に回す動き)で使われる筋肉です。
三角筋前部を鍛えることで、正面から見たときに肩の筋肉の存在感が増します。ダンベルプレスやバーベルプレス、腕立て伏せなどで大胸筋と合わせてバルクアップすれば、胸から肩にかけてボリュームのある筋肉を手に入れることができます。
三角筋中部
三角筋中部(肩峰部)は、肩甲骨の外側部分から上腕骨の上部に伸びる筋肉です。主に肩の外転(肩を外側に引く動作)が起こるときに使われ、肩甲骨を安定させる役割も担っています。
三角筋中部を鍛える際は、前部と後部が紡錘状筋なのに対し、中部のみが羽状筋であることに注意してください。羽状筋は可動域が狭い関節に配置されていることが多く、他の筋肉と違った鍛え方が必要とされています。三角筋中部の代表的なトレーニングは、サイドレイズ(ラテラルレイズ)です。
三角筋後部
三角筋後部(肩甲棘部)の主な役割は、肩関節の伸展(腕を後ろに上げる動き)と水平外転(腕を真横に上げた状態から後方へ水平に引く動き)、外旋(腕を外側に回す動き)です。肩甲骨を引き上げる動作にも関わります。
三角筋後部は前部や中部に比べて意識しづらいため、トレーニングの成果が出にくいかもしれません。三角筋前部・中部や僧帽筋に頼らないよう、適切な方法で後部の筋肉の発達を促す必要があります。シーテッドリアレイズやフェイスプル、バックフライなどで鍛えることが可能です。
僧帽筋
僧帽筋は首から背中にかけて広がっていて、逆三角形や菱形の形で例えられることが多いです。主に肩甲骨の動きを制御し、肩を寄せる、肩をすくめる、肩を上げるといった動作をするときに使われる筋肉です。日常生活やスポーツにおいては、物の持ち上げや引き寄せの動作で力を発揮します。例えば柔道では、相手をつかんで強く引き寄せる動きで僧帽筋が活躍します。
ボディメイクで背中を大きく見せたいなら、僧帽筋を発達させるトレーニングが効果的です。僧帽筋は大きく上部、中部、下部の3つの部位に分かれているため、それぞれを個別に鍛えて筋肥大を目指しましょう。僧帽筋の増大によって肩幅が広くなり、たくましい後ろ姿を手に入れることができます。ここでは、僧帽筋を上部、中部、下部に分けて解説します。
僧帽筋上部
僧帽筋上部は肩と一緒に動く筋肉です。肩甲骨を上方向へ引き上げたり、背中の中央へ寄せたりするときに使われます。日常動作で頻繁に使用されるため、疲労がたまりやすい部位でもあります。首の痛みや肩凝りを抱えているなら、僧帽筋上部に問題を抱えている可能性が高いです。早めに医療機関で診察・治療を受けることをおすすめします。
また適度なトレーニングで筋肉をつけることも、症状の予防や改善に役立ちます。シュラッグ(ダンベルやバーベルを持って肩甲骨を上げ下げする)は、代表的な僧帽筋上部のトレーニング方法です。
僧帽筋中部
僧帽筋中部は、第7頚椎と第1~3胸椎の棘突起を起始、肩峰と肩甲棘を停止とする筋肉で、肩甲骨の内転(内側に寄せる動き)に使われます。また、肩甲骨を安定させる役割も担っています。僧帽筋中部による後方へ引っ張る力と、前鋸筋による前方へ引っ張る力により、肩甲骨が胸骨に押さえられて安定します。
ダンベルデッドリフトや斜め懸垂、ローイングマシンが、僧帽筋中部のトレーニングとして有効です。
僧帽筋下部
僧帽筋下部は、肩甲骨を下方向へ引き下げたり、上方へ旋回するときなどに働く筋肉です。起始は第4〜12胸椎の棘突起と棘状靭帯、停止は肩甲棘三角となります。僧帽筋上部や中部よりも目立たない部位ですが、肩の動きをスムーズにしたり安定させたりするのにも重要な役割を担います。
僧帽筋下部は、中部と同じくシーテッドローイングやケーブルローローイングのようなローイングマシンのトレーニングで鍛えることができます。
菱形筋
菱形筋は大菱形筋と小菱形筋から構成され、肩甲骨の引き寄せ動作に関わっています。大菱形筋は第1~4胸椎の棘突起を、小菱形筋は第6~7頚椎の棘突起を起始とし、肩甲骨の内側縁を停止とする筋肉です。腕を下方から引き寄せる動作において、特に重要な役割を果たします。
菱形筋を鍛えるには、腕を伸ばしたまま肩甲骨を引き寄せるシュラッグ系のトレーニングが効果的です。具体的には、チューブショルダーシュラッグ、ダンベルショルダーシュラッグ、バーベルショルダーシュラッグなどが当てはまります。
肩の筋肉を鍛えるメリット
肩の筋肉を鍛えれば、理想的なボディラインに近づけられます。また、スポーツでのパフォーマンス向上や身体的な不調の解消など、さまざまな効果が期待できます。
ここでは、肩の筋肉のトレーニングで得られるメリットを説明するので、参考にしてみてください。
逆三角形のシルエットになる
逆三角形のシルエットとは、肩の筋肉が発達して上半身が逆三角形を描くように見える姿のことです。肩幅が広くなると、少しウエストを絞るだけでスタイリッシュな印象を与えやすくなります。男性はたくましい体つきに、女性ならシャープなボディラインに見えるはずです。
見た目に美しくなると同時に物理的にも頑健になり、健康面でも多くのメリットを感じられるでしょう。例えば筋力が発達して重い物を持ちやすくなる他、基礎代謝量が向上して太りにくい体質になります。
逆三角形のシルエットを作りたいなら、肩の筋肉と広背筋を集中的に鍛えましょう。
スポーツのパフォーマンスが向上する
三角筋などの肩の筋肉は、ほとんどの腕の動きに関与します。従って、腕を使うスポーツにおいては、肩の筋力アップによってパフォーマンスが直接的・間接的に向上するでしょう。
ボールを投げる野球やソフトボール、ハンドボールだけでなく、サーブやスマッシュを打つテニスなどのラケットを使うスポーツでも、強い肩の筋肉は武器になります。ボールスポーツの他、水泳や武道、格闘技、陸上競技など、あらゆるスポーツで役に立ちます。
以下の表で、スポーツごとに肩の筋肉を鍛えると得られる、主なメリットをまとめました。
野球、ソフトボール | ボールを投げる能力(スピードと遠投力)、守備の安定性 |
---|---|
テニス、バドミントン | サーブ、スマッシュのパワー、バックハンドのストローク |
バスケットボール | シュート力(飛距離とコントロール) |
バレーボール | スパイクのパワー、ブロックの安定性 |
水泳 | クロールやバタフライなどの腕で水をかく力 |
武道、格闘技 | 突きやパンチのパワー、相手を引いたり投げたりする力 |
陸上競技 | フォームの安定性、投てき種目の飛距離アップ |
肩凝りの解消になる
肩凝りは、日常生活の不適切な姿勢や冷え性などによって引き起こされます。特にデスクワークや長時間同じ姿勢を保つ生活をしていると、三角筋や僧帽筋、菱形筋に負担がかかるため、肩周りの筋肉が凝り固まって血流の悪化を招きます。これが、筋肉疲労と血流不足による痛みやだるさ、すなわち肩凝りを引き起こす原因です。姿勢が悪い人やなで肩の人も、肩凝りになりやすいといえます。
肩凝りの解消には、肩周辺の筋肉を鍛えることが有効です。特に三角筋を鍛えることで血液循環が促され、肩が凝りにくくなります。もし肩凝りの解消だけが目的なら、それほど激しいトレーニングでなくてもよいでしょう。ぜひ軽いダンベル運動やストレッチから始めてみてください。硬直した肩周りの筋肉をほぐし、血流を改善させれば肩凝りの症状が軽減します。姿勢の悪さやなで肩によって慢性的に肩が凝るという人は、肩の筋肉量を増やすために本格的なトレーニングをするのもおすすめです。
姿勢が良くなる
肩の筋肉のうち菱形筋がうまく働かないと、肩甲骨が左右に開いてしまいます。肩甲骨が開くと、肩が前に出て猫背になるなど、姿勢が悪くなりやすいです。この状態では僧帽筋に負担がかかったり、胸椎の動きに影響が出たりします。
さらに、姿勢が悪いと体幹が不安定になるため、転倒などの思わぬ事故やけがの原因にもなります。スポーツにおいても、姿勢の悪さは「力がうまく入らない」「バランスが取れない」といったパフォーマンス低下の要因です。
姿勢を改善するには、まず菱形筋を鍛えましょう。菱形筋が肩甲骨をしっかり引っ張ってくれれば胸が開くので、背筋も伸びます。
また僧帽筋の負担を減らせるのと同時に、胸椎も本来の位置で動かせるようになります。デスクワークでいつも前かがみの体勢になっている人は、菱形筋のトレーニングをして姿勢改善を図るのがおすすめです。
筋肉質な体になる
上半身の大きな筋肉である三角筋や僧帽筋を鍛えれば、見た目にも筋肉質な体になります。特に体積が大きい三角筋が発達すると肩幅が広がるため、がっしりとした印象になるでしょう。丸みを帯びた大きな肩が逆三角形の体形を作り出し、服を着ていても「筋肉質な体だな」と周囲の人たちに思われるはずです。なで肩で肩幅が小さいことを悩んでいる人には、三角筋のトレーニングを強くおすすめします。
また肩の筋肉を鍛えることは、基礎代謝量の向上にもつながります。筋肉量が増えると日常で消費されるエネルギー量も増加するためです。腕は日常的によく使われる部位であるため、そこにつながる肩の筋肉を鍛えると、エネルギー消費がさらに増大します。
基礎代謝量の向上によって太りにくく痩せやすい体質になり、間接的なダイエット効果も期待できるでしょう。効率的なボディメイクを目指しているなら、筋肉質な上半身を手に入れるのが目標達成への近道です。三角筋や僧帽筋を鍛えるトレーニングをぜひ取り入れてみてください。
肩の筋肉を鍛えるエクササイズ
肩の筋肉を鍛えるエクササイズは多数ありますが、ここでは代表的なものとして「サイドレイズ」「シーテッドリアレイズ」「ダンベルショルダープレス」の3つを紹介します。
サイドレイズ
三角筋中部を鍛えるなら、サイドレイズが最もポピュラーなエクササイズといえます。初心者は1〜2kgのダンベルから無理なく始めるのがおすすめです。ダンベルがない場合は、水を入れたペットボトルでも代用できます。
ただし、サイドレイズで正確に三角筋に効かせるのは意外と難しいため、ジムへ行ってトレーナーに教わった方が効果が高いでしょう。
1. 両手にダンベルを持ち、胸を張って真っ直ぐに立ちます。足を肩幅ぐらいに開くと下半身が安定してやりやすいでしょう。
2. 肘を軽く曲げて、両腕が水平になる高さまで持ち上げます。肘から吊り上げられるようなイメージで、肩の位置よりやや前方に上げます。
3.1秒間静止した後、勢いを付けずにゆっくりと元に戻します。
4. 1~3の動作を15回繰り返し、これを3セット行います。
シーテッドリアレイズ
三角筋後部や僧帽筋を鍛えるには、シーテッドリアレイズが有効です。イスに座って行うため簡単そうに見えますが、フォームが間違っていると僧帽筋に負荷が逃げてしまうので注意してください。比較的難しい種目であるため、こちらもジムでトレーナーからアドバイスをもらって取り組むとよりよいでしょう。
1. 両手にダンベルを持ちベンチに座ります。足を肩幅程度に開くとやりやすいです。
2. 上半身を前方に、床と水平になるまで倒します。これがセットポジションです。
3. ダンベルを持ったまま、羽のように両腕を広げます。肘は軽く伸ばした状態です。
4. 肩と同じくらいの高さまで持ち上げ、止めます。
5. ゆっくりとダンベルを下げ、セットポジションまで戻します。
6. 3~5の動作を10回から12回繰り返し、これを3セット行います。
ダンベルショルダープレス
ダンベルショルダープレスは、ある程度の重量を扱えるエクササイズです。三角筋前部がメインターゲットになりますが、肩全体の筋肉を鍛えることができます。上腕三頭筋や大胸筋上部の筋肉も使える上、体幹強化にもつながります。
ただし、無理に高重量を扱うと手首や肘、肩のけがにつながるため、十分に注意しながら実施してください。
1. フラットベンチまたは安定したイスに座ります。
2. 背筋をまっすぐ伸ばした状態で、ダンベルを肩の高さにセットします。
3. 三角筋を意識しながら、肘が伸び切らない程度の高さまで持ち上げます。
4. ゆっくりと肘を下ろします。肘が肩よりも少し低くなる位置が目安です。
5. 2~4の動作を10回から12回繰り返し、これを3セット行います。
まとめ
肩の筋肉は人体にとって重要な箇所です。トレーニングをすると多くのメリットを得られますが、ピンポイントに鍛えるのが難しい部位でもあります。
逆三角形の上半身をなるべく早く獲得したいなら、自宅よりもスポーツジムでトレーニングするのがおすすめです。スポーツジムで豊富に用意されているマシンや器具を活用することで、肩周りの筋肉をスピーディに鍛えられます。専門的知識のあるトレーナーに教わることができるのも、スポーツジムの長所です。関心のある方は、お近くの スポーツクラブNASの店舗 までお問い合わせください。
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